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2019年1月20日 (日)

EU の事例から ④

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 たとえば、「難民申請をした男だ妊娠中の女性の首を切ろうとした」、「毎年、世界のどこかの大都市の人口に匹敵する数の移民たちがそのままドイツに流入している……政府は間違った数字を発表して騙そうとしている」、「難民申請者が地方自治体を脅威に落し入れている……政府は国民を守ろうとしないのか」など。
 「警告:メルケルは発言の自由の終わりを告げた」というシェアでは、メルケル首相が社会主義国、東ドイツの国旗の前でしゃべっている姿があった。こういったサイトに入り込むと、正に、「類は友を呼ぶ」現象が起こり、同じようなメッセージを見たり、シェアしたりする「フィルター・バブル」に晒されることになる。
 反対の意見を目にする機会がなくなる一方、より過激な意見を信じる傾向に走るというネット利用上の性質があるためだ。
 AfDは、フェイスブック上に、連立政権を成している CDU と SPD を合せたファンの数より多い、40万人の支持者を抱えるとされる。ある IT 専門家が AfD ”ファン”とされるカウントのプロフィールと書き込みを調べたところ、僅か5%の”ファン”たちがヘイトスピーチにあたる書き込みの半分以上を書いていた。
 つまり、少数の支持者が大量のヘイトの書き込みやシェアをし、「AfD支持者が多いというある種のムード」を醸し出している。これは短期間に突然、右翼的な党や世論の支持者を増やすために、よく使われる手法である。
 一方、、最近、AfDは次世代の選挙民に注目し、AfDに批判的な意見を言う教師を告発するウェブサイト・ポータル、「中立の学校サイト」を立ち上げた。名前に<中立>とあるためわかりにくいのだが、公務員である教師たちが、政治に対して意見を言うこと、AfDを「極右政党である」と表現することを阻止するためである。
 先生を密告するサイトの設置は、AfDへの批判を口封じしようという試みである。
 この方法は、秘密警察の手が社会の隅々に浸透していた独裁体制と旧東ドイツ時代を彷彿とさせる。
 2018年12月は、第二次大戦後、東西ドイツが分断されていた時期より、統一されていた時期が長くなる分岐点である。難民収容施設への放火や外国人へのいやがらせ、デモはここ数年、旧東ドイツの州で目立って増えており、AfD支持者は東ドイツに多い。
 旧東ドイツ地域の経済力は旧西ドイツに近づいてきているとはいえ、失業率は旧西ドイツ地域よりも依然高いままである。なによりも、共通の歴史認識が欠落している。旧西ドイツ地域と異なり、ナチス時代の罪と蛮行を自国の犯罪であったと認識したり、道義的な反省を共有したりしてこなかった旧東ドイツの世代に対して、政治の再教育を行うことは極めて難しい。
 では、果たしてヘイトスピーチにも言論の自由はあるのだろうか。





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