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2019年1月14日 (月)

EU の事例から ①

福田直子(国際ジャーナリスト)さんは「SNSと言論の自由」のタイトルで次のように述べている。文章をコピー・ペー:
 2年間のトランプ政権への「国民投票」と呼ばれた11月の米国中間選挙の数日前、トランプ大統領は、「<偽の広告>が効果的であることは、数字が立証している」と気になる発言をしていた。
 これは、中間選挙の数週間前からささやかれていた、「南米のホンジュラスから移民のキャラバンが米国へ向かっているのは、富豪ジョージ・ソロスが資金提供し、民主党が仕組んだ」というメッセージへの言及だったようだ。トランプ大統領は「キャラバンには犯罪者や身元不明の中東からの移民も混ざっている」として、国家の安全保障にかかわる危機があるかのように有権者たちの不安を煽っていた。
 当初、移民キャラバンは国境警備を強化しようとする共和党の追い風になるとされたものの、中間選挙後、トランプ大統領はまるでキャラバンがなかったのようにこのテーマを取り上げるのをぱたりとやめた。
 それは選挙から1週間後、開票が遅れていたアリゾナ州の上院議員の議席について、民主党のクリステン・シネマ氏に僅差でs勝利がもたらされたと発表された時と重なる。アリゾナ州の上院議席は実に24年ぶりに民主党へ移行したという。
 ニューヨークタイムズ紙が分析したように、アメリカ南西の国境へ押し寄せる移民への恐怖を煽ったことが、無党派の有権者たちの反感を買ったことが「数字に表れた」のであろうか。アメリカの国境から数千キロも離れた所を徒歩で北進中の移民たちが「国家を揺るがす危機には見えない」と有権者たちが悟ったことを、トランプ大統領側のスタッフが認知したのかもしれない。
 ともあれトランプ大統領は、2016年の米大統領選キャンペーンから、ソーシャル・メディア上の反応に応じて発言内容をくるくる変える傾向にあるのだ。2016年にトランプ陣営は、過激な発言が支持者たちにどう受け止められていたかを、フェイスブック上での「いいね」ボタンやツイッター上での反応、リツイートなどから細かく分析していた。
 こうしてデジタル戦略についてここでは詳しく書かないが、デジタル戦略の効果に関しては現在も専門家たちの間で意見が分かれているのだ。確かなことは、ソーシャル・メディアが政治キャンペーンに於いてこれまでには見られなかった程の規模で使われるようになったということだ。
 2016年の大統領選挙キャンペーンでは、フェイスブックから最大で8700万人分の個人情報が、利用者の同意を得ずに、選挙コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカ(CA)社に流出していたと判明した。CA社が特殊な心理分析を交えたデジタル戦略でトランプ陣営を勝利に導いた可能性については数々のメディアが取り上げていたが、CA社の元データサイエンティストが告発した後、イギリスのTV局、チャンネル4 がニックスCEO(当時)を隠し撮りしたことでスキャンダルとなった。
 スリランカの選挙キャンペーンへの支援を求めるクライアントに扮した記者が引き出したニックスCEOの証言は、衝撃的であった。彼は「ソーシャルメディアの痕跡をいかに調べられないようにするか」、「メールで個別メッセージを送る場合もいかにデジタル痕跡を残さないようにするか」、「外国のクライアントに調査の手がいかに及ぼさないようにするか」、「2016年の大統領選においてヒラリーを攻撃する広告をいかに送り続けるか」、等についてぺらぺらと語っていた。
 CA社はこのスキャンダルのため破産申告。しかし会社が閉鎖されたからといって、それで問題が解決したわけではない。CA社は多額の資金を投入していた富豪は次の選挙へむけて、すでに別会社 Emerdata 社を設立しているし、元従業員たちは新たなデータ分析企業、 Aupex International 社を設立している。おそらくもっと洗練された方法で、2020年のトランプ大統領再選へ向けてデータを駆使した選挙キャンペーンを展開させようとしているはずだ。
 フェイスブック社をはじめ、ソーシャルメディアを運営するIT企業は、個人データ流出に対する対策方法、不適切なシェアや書き込みを消去する方法を模索していることをアピールしている。
 しかし、ネットやソーシャルメディアのビジネスモデルが、クリック数やそのサイトで利用者が過ごす時間によって広告料がアップして、売り上げが増えるという「クリック資本主義」である限り、基本的に何も変わらないだろう。
 急速に利用者数を伸ばし、巨大IT企業に成長する段階で、とりわけフェイスブック社はセキュリティや個人情報の流出に目をつぶり、問題の解決を先送りしている。
 





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