« トランプ・ザ・パニック ① | トップページ | トランプ・ザ・パニック ③ »

2019年1月27日 (日)

トランプ・ザ・パニック ②

続き:
 投票当日の11月6日、マンハッタン南部トライベッカ地区の小学校の投票所ではa.m.8:00ですでに、1時間待ちの行列ができていた。多くはコーヒー片手の出勤前のビジネスパーソンたち、または早起きの年配者たち、若い男女の姿もある。
 静かながらも、中間選挙でのこうした熱気は24年間ここで暮らした私(北丸)にとっても初めての経験だ。普通なら中間選挙の投票率は30%台半ば~40%前後。 
 それが今回49%を越え。ヘタな大統領選挙と同じほどの盛り上がりだ(これを「盛り上がり」と呼べば日本では奇異に聞こえるだろうが、低投票率は自分で有権者登録をしなければならないなどの複雑な選挙制度にも原因)。
 ニューヨーク市は、二年前の大統領選挙で85%がヒラリー・クリントン(→反トランプ)に投票した。「二年間ずっとこの選挙を待っていたんだ」とすでに20分並んだAV技師の男性(52)は言う。すると前後の老婦人たちも大きくうなずいて会話に入ってくる。「とにかくトランプは(彼を生んだ)ニューヨークの恥なの。私たちがその片をつけなきゃならないの」。彼女たちが「若い頃からのトランプの傍若無人ぶり」「詐欺師まがいのビジネススキャンダル」「とんでもない女性遍歴」を教えてくれようとする。その種の話はニューヨーカーには共有されている。
 「どうして他の州の人たちにはそれがわからないのかしら」と一人が憤慨する。「テレビのせいね」ともう一人が応える。
          中間選挙への高い関心
 下院は民主党が逆転勝利し、上院は共和党が多数党維持、というのは事前に予想された。→結果はそのとうりになった。
 CNN集計(11月28日時点)では、
 ▼上院:共和53議席、民主47議席
 ▼下院:民主234議席、共和:200議席(未決1)
 これを上下院の「ねじれ議会」とする日本の報道もあるが、実際には米国議会は上院と下院で役目が違うので、日本で言う「ねじれ」とはやや異なる。予算案を含むすべての法案の成立には上下両院での承認が必要(予算案の先議権は下院)だが、異なるのは、上院が大統領の行う連邦裁判事、政府閣僚や大使などの人事の承認可否を行う点。
 実は上院で共和党がどう議席を増やそうが選挙前とあまり変化は生じない。なぜなら、上院で共和党が目指した第一は、最高裁判事以下、全米の連邦裁判事を保守派で埋めることだった。そしてそれはこの2年ですでにほぼ達成されつつあるからだ。
 一方で下院を民主党が抑えたことはこの2年間のトランプ政治の流れを180度転換させる契機となる。トランプの混乱の根源はここにある。
 2019年1月の新任期から、多数党の民主党は下院の20の委員会を全てで委員長職を押さえ、その裁量で様々な公聴会の開催や証人喚問が可能になる。つまり大統領の”疑惑”に対する強制調査権が下院・民主党に与えられることになる。
 その第一はもちろんロシア疑惑、さらには脱税やマネーロンダリング、利益相反、司法妨害、女性スキャンダル等の倫理問題、などなど。
 ウォール街を監督する金融委員会の新委員長と目されるのは「メキシコの壁」建設をめぐってトランプにさんざん「IQが低い」と罵倒され続けたマキシン・ウォーターズ議員だ。彼女はトランプ周辺のマネーロンダリングが噂される「ドイツ銀行」経由のカネの流れを徹底解明したいと意気込んでいる。もちろんトランプがこの2年間ずっと拒んできた納税申告書の議会提出も、彼女が歳入庁(IRS)に命じればわずか数10分で出てくるはずだ。
 いずれにしても下院が民主党に取られたことで、メキシコ国境の壁建設の可能性が消滅、オバマケア撤廃の可能性もゼロ、これ以上の富裕層向け減税もなし、下院共和党が行なってきた情報委員会、司法委員会によるロシア疑惑捜査への圧力も消える――ことになるどころか、数々のトランプ”疑惑”の真相がモラー特別検察官の捜査と下院各委員会での調査の両面から明るみに出て、下院が大統領弾劾を発議する展開も可能になる。
 その場合、上院・共和党の反対で 2/3 以上の「弾劾票」ができずとも、世論は2020年のトランプ再選や上下院選挙での共和党にとって、大変な逆風となる。しかも次の上院の改選33議席は、今回とは逆に共和党が 2/3 を守らねばならない選挙なのだ。
          下院が民主党優勢になった意義


« トランプ・ザ・パニック ① | トップページ | トランプ・ザ・パニック ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: トランプ・ザ・パニック ②:

« トランプ・ザ・パニック ① | トップページ | トランプ・ザ・パニック ③ »