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2019年2月23日 (土)

遺体科学の挑戦 (3) ―③

続き:
 問題は、なぜこんな運動を起こすか、である。ここから先は推測を含む話だ。どうやら、要因は、この種の特異な餌の捕食にあるようだ。
 アリクイは長い舌を使ってアリやシロアリを捕まえる。筋肉でできた舌を一気に発射してアリを舌の先に貼りつけて捕まえる。舌を発射するときには舌が躍ってしまわないように口の断面積を極力小さくする必要があって、顎を閉じるらしいのだ。
 逆に、捕まえたアリを口に入れる時は、太くなってくる筋肉でできた舌を回収するために、口腔は広い方がいい。この往復運動がまさにアリクイの顎の開閉なのである。
 アリもシロアリも、虫体は微小すぎて噛み砕く必要は無い。だから食べる側も、歯も要らなければ本当の開閉動作も不要だ。その代わりこの動物は、舌を正確に発射し、確実に餌を回収しなければならない。その機能を進化の挙句生み出したのが、まさにオオアリクイなのだ。
 遺伝子の研究のお蔭で、人間とアリクイが分かれたのは、今から丁度一億年前だということが判明している。億年という時間を費やして、人類とアリクイはずいぶんと違った形になって生きている。
 時間さえあれば、顎の開閉を90度傾けることも厭わない。
 進化とは、身体の歴史とは、時間次第でどんなことでもやってのけるのである。





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