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2019年2月 8日 (金)

Clinical 非歯原性歯痛 パート3 ⑤

続き:
6. 精神疾患または心理社会的要因による歯痛
 うつ病や双極性障害、不安障害、統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が精神疾患の「身体症状(旧:身体化)」として歯痛や顔面痛を主訴に受診することがしばしばある。
 精神疾患は患者が自己申告しない場合が多いが、初診時に行う「お薬手帳」のチェックで、抗うつ薬や抗精神病薬を服用していることから推察できる。特に、うつ病は生涯有病率(一生のうちにその疾患にかかる確率)が約12%強(8人に1人)と多く、口腔顔面痛外来では本疾患の既往をもつ患者は多い。精神疾患の身体症状が疑われる場合は、精神科医と連携しながら、疼痛管理を行っていく。
 うつ病の診断は精神科医の診察によって確定されるが、非専門医でも見当がつけられるうつ病の判定基準が有る。
症例5
  患 者 : 78歳、女性(病悩期間 1ヵ月以上)
  主 訴 : 義歯が合わないため、食事ができず、眠れない
  1ヵ月前より歯肉の疼痛、舌のヒリヒリ感、また口蓋がざらざらする不快感が生じ、食思不振と極度の不眠が発現した。患者本人は義歯の適合不良が原因だと主張し、歯科医院にて義歯の調整を繰り返すも症状に改善が見られず、1ヵ月で体重が5kg減少した。
  義歯の適合は良好で、口腔内は潰瘍やびらん、粘膜の発赤などは認められなかった。うつ病の判定基準を満たすため、精神科医に依頼したところ、うつ病と診断され、処置は抗うつ薬が処方された。
  うつ病が改善するとともに義歯に対する愁訴は消失した。
● うつ病の判定基準
   1)か2)を必ず含む、5項目以上を満たした状態が2週間以上継続している場合には、うつ病の可能性が高い。
◆ 中心症状
   1) 抑うつ気分
   2) 興味または喜びの消失
◆ 副症状
   3) 食欲の減退(または過食)、体重の減少(または増加)
   4) 睡眠障害
   5) 精神運動機能の障害
     ・強い焦燥感あるいは逆に精神運動機能の停止
   6) 疲れやすさ、気力の減退
   7) 強い罪責感
   8) 思考力や集中力の低下
   9) 自殺への重い(希死念慮)
  




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