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2019年2月 6日 (水)

Clinical 非歯原性歯痛 パート3 ③

続き:
3. 神経血管性歯痛
 片頭痛などのように、脳の血管に一過性の神経原性の炎症が生じるために起こる頭痛を「神経血管性頭痛」という。片頭痛患者が、片頭痛の発作時に、頭痛よりも歯痛や顔面痛を強く訴えることがあるが、これは「顔面片頭痛(facial migraine)」通称されている。
 しかしながら、片頭痛よりもさらに「歯痛」を起こし易い一群の頭痛がある。「三叉神経・自律神経性頭痛(TACs=タックス: Trigeminal Autonomic Cephalalgias)  」である。
 TACsは、顔面片側の発作性の激痛を特徴とし、発作中は患側に顕著な自律神経症状を伴う。TACs には群発頭痛、発作性片側頭痛、SUNHA (サンハ)、持続性片側頭痛の4種類があるがいずれの患者も歯痛を主訴に歯科受診をするという報告がある。
● 日本口腔顔面痛学会が作成した TACs の啓発ポスター
「歯科医師の皆様へ」:
            TACs という頭痛を知っていますか?
 TACs(タックス)と呼ばれる頭痛では、歯痛や顔面痛が主訴になることがある。TACs(三叉神経・自律神経性頭痛:Trigeminal Autonomic Cephalalgias)の患者は、歯科・口腔外科を受診するので、不要な歯科治療を行なわないよう注意が必要です。
※ TACs は片側顔面の発作性疼痛と、患者の自律神経症状(流涙・鼻閉・鼻漏等)が特徴で、4タイプがある。
① 群発頭痛 <1000人に1人>
   目の奥に刺すような痛みが15~180分持続する。上顎大臼歯部の痛みと感じることも多く、患者の34%が歯科受診し、16%で抜歯が行なわれている。
② 発作性片側頭痛<5万人に1人>
   群発頭痛と特徴はほぼ同じだが、治療法が違う。インドメタシンで100%寛解する。
③ SUNHA(サンハ)<まれ>
   三叉神経痛に類似しているが、カルバマゼピンは奏効しないことが多い。第1選択薬はラモトリキン。
④ 持続性片側頭痛<比較的まれ>
   24時間持続する片側の顔面痛+激痛発作で、顎骨骨髄炎や持続性顔面痛と誤認しやすい。
◆群発頭痛について
 群発頭痛は、上顎最後臼歯の痛みとして自覚される場合があるため、患者の34%が歯科を受診し、16%に抜歯が行なわれたという報告がある。有病率は1000人に1人とまれではないため、歯科医が知っていなければならない疾患である。
 群発頭痛のもっとも大きな特徴は発作発現の時間的規則性にある。普段は全く症状はないが、1~2年に一度、個人ごとに決まった時期に(「2年ごとの10月」など)、「群発期」が巡ってくる。群発期は、約1か月持続し、この間は毎日数回、ほぼ同じ時間に、約1時間持続する激痛発作が生じる。
 疼痛は厳密に片側性で、眼窩を中心に、側頭部、上顎最後臼歯にかけて生じる。疼痛強度は激烈で、ほとんどの患者は「のたうちまわる」という表現をする。他にも、ほっさちゅに患側顔面に自律神経症状が生じる、夜間睡眠中に発作が生じて覚醒する、飲酒で必発するなどの顕著な特徴を持つ疾患のため、知っていさえすれば歯科医でも診断は可能な疾患だ。
―――群発頭痛の特徴をまとめる。
 
◆群発頭痛の特徴
 ◍ 20~40代に初発
 ◍ 5 : 1で男性に多い
 ◍ 周期性 : 群発期と寛解期があり、1~2年ごとに群発期が巡ってくる
 ◍ 発作頻度 : 1日8回~2日に1回(平均1日2回)
 ◍ 持続時間 : 15~180分(平均60分)
 ◍ 部位 : 眼窩を中心に上顎最後臼歯・側頭部
 ◍ 性状 : 「焼け火箸を目に突っ込まれるような」一定の激痛
 ◍ 強さ : 想像できる最悪の激痛(VAS 100/100)
 ◍ 発作中の行動 : 激痛のためじっとしていられず歩き回る、のたうちまわる
 ◍ 随伴症状 : 発作中は患側に自律神経症状を伴う。
   流涙、鼻漏、鼻閉、結膜充血、縮瞳、眼瞼下垂などの自律神経反応を伴う。
 ◍ 夜間睡眠中に発作が生じることが多く、痛みで覚醒する。
 ◍ 群発期中は飲酒で発作が必発する。
 最近では歯科医への啓発が進んだこともあり、歯科医師が診断して頭痛専門医に依頼とあるケースも増加してきている。この治療の中心は薬物療法で、ベラパミルによる予防療法とトリプタン類による頓挫療法の組み合わせで行う。
 発作の頓挫には、純酸素吸入(12L/分を15分間)も8割で有効である。
● 患者は歯科医師には「痛くて眠れない」と訴えることが多いが、「痛くて眠れない」のではなく「眠っていたのに痛みで飛び起きる」という点を問診で聞き取ることが重要である。
● TACsは特殊な頭痛であるため、治療は日本頭痛学会のホームページの「認定頭痛専門医」に依頼するのが望ましい。
                     以上。


 

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