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2019年2月28日 (木)

Clinical ブラキシズムとしての TCH ③

続き:
2) TCH はなぜ生じるか
 デスクワーク中やスマホ操作時は、頭部を前傾させてややうつむくような姿勢を取ることが多い。この時、下顎はわずかに前方に移動するため、上下の前歯同士がぶつかりやすくなる。上下歯の接触によって歯根膜に持続的な力が加わると咬筋に反射性の活動が生じるといわれており、これは緊張性歯根膜咬筋反射と呼ばれている。
 また、ストレスや集中、過度の緊張によっても咬筋の活動性が上昇することも示されている。このような理由によって閉口筋である咬筋の収縮が持続することにより、上下歯の接触状態も維持され、TCH へ発展していくと考えられる。
 また、TCH を持つ患者に「上下の歯を少し離してすき間を作ってください」と言うと、その状態を不快に感じるという返事が返ってくることがある。この場合、安静空隙が存在せず、上下の歯を離しておくこと自体ができないため、非機能時にはほとんど歯を接触させたままにしていると考えられる。このような状態を「一次性 TCH 」と呼んでいる。一方、上下の歯を離すことを特に不快に感じないが、姿勢や集中などによってなどによって二次的に TCH が引き起こされている場合を「二次性 TCH 」と呼んでいる。
                          ◍ 特定作業下
一次性 (安静空隙消失)  二次性       ◍ 心理社会的要因
TCH               TCH     ◍ 身体痛の存在
                          ◍ 不安定な可撤正義歯
一次性 TCH と二次性 TCH 存在の可能性を臨床的に見つけるためのアルゴリズムを示す(図:略)。
4. ブラキシズムへの対応
1) レベルダウンの考え方
 ブラキシズムは健康に対する害の有無によって3つのタイプに分類。
                 Bruxism
 リスク因子 ×
 保護因子   ×   リスク因子     保護因子 
    ↓          ↓          ↓
 害のない行動    健康への害   健康への貢献
 極度の歯の咬耗や破折、補綴物の破損、顎関節症などを引き起こすレベルであれば、健康に害を及ぼすリスク因子としてブラキシズムをとらえる必要がある。また、SB に引き続いて生じる空嚥下による逆流胃酸の中和作用などは、健康への保護因子として考えることができる。
 ブラキシズムはあるが健康に対してリスク因子や保護因子のどちらにも寄与しない場合は、単なる行動(筋活動)としてとらえることができる。つまり、ブラキシズムが有るからといってすべてが悪いわけではなく、健康に害を及ぼすリスク因子となっている場合にのみ対応すべきであることを示している。
 この際にも、ブラキシズムという行動をゼロにすることを目指すのではなく、ブラキシズムによる力の大きさ、持続時間、頻度、および力の集中を、害を及ぼさない程度にレベルダウンさせることが目的となる。
2) 睡眠時ブラキシズム(SB )をコントロールする
 現在、SB への対応法として考えられている方法は次の6つ有る。
                  SBへの対応
     ◍ 口腔内装置
     ◍ ストレス軽減
     ◍ 原因疾患改善(OSA、GERD)
     ◍ 薬物療法(セレトニン作動法、クロニジン)
     ◍ 注射療法(ボツリヌス毒素)
     ◍ Biofeedback                    を示す。
 最も多く用いられる方法は口腔内装置である。口腔内装置には材料や形態など様々な種類があるが、西山は、加熱重合レジン製で上顎にセットするスタビリゼーションタイプを臨床では主に用いている。その他にはストレス軽減や、SB を生じさせている可能性がある原因疾患、特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) や、胃酸の逆流 (GERD) の治療。また、交感神経抑制薬やセロトニン作動性薬などが SB を軽減させる可能性があるという研究報告もある。ボツリヌス毒素注射も SB レベルの低下が期待できるが、筋活動量は減少するものの SB のイベント数の減少はあまり期待できない。その他、最近では筋活動などの生体信号をトリガーとした Biofeedback システムを用いた機器も市販されるようになっている。
 
 
 





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