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2019年3月 9日 (土)

通貨スワップ契約―(2)

続き:細野祐二さんの小論文を載せる。コピー・ペー。
 ところで、ゴーン元会長が通貨スワップ契約を締結して18億5000万円の評価損を日産自動車に付け替えたと言うと、ゴーン会長が自分の出した投機損失を日産自動車に肩代わりさせたような印象を受けるかもしれないが、それは違う。
 ビックリするかもしれないが、ゴーン元会長はこの通貨スワップ取引で損などしていない。なぜなら、ゴーン会長は、ドル買い円売りの通貨スワップ契約を自分の円資産のヘッジ目的で契約しているからで、そこで通貨スワップ契約に18億5000万円評価損が出たということは、ゴーン元会長が有する現物の円資産にはそれと同額18億5000万円の評価利益が出ているに違いないからである。
 ゴーン元会長はドルを基軸通貨として生計を営む外国人であり、日産自動車からの報酬もドルで受け取ることを希望していた。しかし、日産自動車が円払いしかできないと言うので、止む無く、通貨スワップ契約により日産から貰う円資産をドルヘッジしただけのことである。
 新生銀行は、ゴーン元会長の個人金融資産の管理運営を委託されていたのだから、ゴーン元会長が有する莫大な円建て金融資産の為替リスクをヘッジする責務がある。
 日産の取締役会も、だから、本件スワップ契約を「外国人の役員報酬を外資に換える投資」として承認したのであり、何も当時の秘書室長がここで嘘をついて取締役会を騙したというわけではない。
 通貨スワップ契約で損をしていないゴーン元会長が、「損失を日産自動車に負担させたい」などという意図も持つはずがない。
 また、本件通貨スワップ契約がゴーン元会長の資産管理会社に戻されるとき、サウジアラビアの知人が外資系銀行発行の約30億円分の「信用状」を新生銀行に差し入れたと聞くと、さもその時ゴーン元会長には30億円相当の資産がなかったように思うかもしてないが、それも違う。なぜなら、ゴーン元会長はこの当時日産自動車の株を300万株程度所有したので、自社株だけで12億円相当(300万株×リーマンショック暴落後日産自動車株価400円)の現金等価物を持っていたからである。
 ゴーン元会長は、もちろん自社株以外にも相当の資産を有していたはずで、それにもかかわらず追証が工面できなかったのは、これらの資産が新生銀行の求める追証の流動性基準に合致しなかっただけのことであろう。
 会社法は、第960条により、会社の取締役が、「自己若しくは第3者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定している。
 ゴーン元会長に特別背任罪が成立するためには、ゴーン元会長の故意による日産自動車の財産上の損害が認定できなくてはならない。
 要するに、ゴーン元会長の特別背任容疑における第1の犯罪事実は成立しない。





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