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2019年3月 6日 (水)

同一容疑での再逮捕

続き: 細野祐二さんの小論文を載せる。→コピー・ペー。
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 検察官が容疑者を逮捕すると逮捕の伴う48時間の拘留が認められる。その後、検察官は、起訴前勾留(刑事訴訟法第208条第1項)により被疑者を10日間にわたり取り調べるが、この起訴前勾留はさらに10日間延長(刑事訴訟法第208条第2項)することができる。
 刑事司法の世界では、勾留10日後の延長を「勾留折り返し」といい、さらに10日後の拘留期日を「勾留満期」という。特捜検察は22日間にわたり被疑者を勾留することができる。
 ゴーン元会長の場合は、逮捕が2018/11/19 のことなので、その22日後の勾留満期は2018/12/10 ということになるが、なんと、この日ゴーン元会長は、東京拘置所内において、11月19日と同じ金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)容疑で再逮捕された。同時に、東京地検特捜部は、ゴーン元会長と法人としての日産自動車を有価証券報告書虚偽記載罪で起訴。
 ゴーン元会長の1回目の逮捕は、2011年3月期~2015年3月期の5事業年度の役員報酬50億円の不記載容疑であったが、今回の逮捕は、2016年3月期~2018年3月期迄の3事業年度の役員報酬42億円の不記載容疑である。2つの容疑は対象期間と金額が違うだけで犯罪構成要件に変わりはないが、ゴーン元会長の被疑事実に対する法的立場はまるで違う。
 2016年3月期~2018年3月期迄の3事業年度の日産自動車の有価証券報告書には、代表者の役職氏名として、「取締役社長 西川廣人」と記載されているからである。
 もとより、有価証券報告書虚偽記載罪は、「有価証券報告書に記載された重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者」に対して刑罰(金融商品取締法第197条第1項第1号)が定まられている。
 ここで、2011年3月期~2015年3月期迄の5事業年度における日産自動車の代表者はゴーン元会長なので、ゴーン元会長が有価証券報告書の提出義務代表として虚偽記載容疑で逮捕されるのは金融商品取引法の規定に合っている。
 しかし、2016年3月期~2018年3月期迄の3事業年度は、これは、違う。
 本件2回目の有価証券報告書虚偽記載罪が成立するとすれば、その主犯は西川廣人現社長になるはずで、ゴーン元会長はその共犯者あるいは幇助犯ということになる。特捜検察は、今回第2回目の逮捕において、正犯容疑者を逮捕することなく共犯あるいは幇助犯容疑者だけを逮捕した。
 西川廣人現社長は本件司法取引の対象者ではないが、本件の発端となった内部告発を支える日産自動車内反ゴーン一派の中心人物だ。
 特捜検察は、ゴーン元会長に対する逮捕容疑の証拠のほぼ全てを日産自動車からの内部情報に依存している。特捜検察と西川廣人現社長は共存関係にあり、だから、本件第2回目の虚偽記載における主犯が西川現社長であるとしても、だからといって、西川現社長を逮捕することができない。
 特捜検察は、一民間自動車会社の内紛に刑事司法をもって介入したばかりに、秋霜烈日たるべき法の正義を自ら歪めてしまった。
 





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