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2019年3月 7日 (木)

特別背任

続き:細野祐二さんの文を載せる。コピー・ペーする。
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 2018年年の瀬 12月21日、東京地検特捜部は、カルロス・ゴーン元日産自動車会長を会社法の特別背任罪容疑で再々逮捕した。ゴーン元会長の逮捕は、11月19日の有価証券報告書虚偽記載罪容疑での1回目の逮捕、12月10日の有価証券報告書虚偽記載罪容疑での2回目の逮捕に続く3回目だ。
 東京地検特捜部は、12月10日の2回目の逮捕にともなう10日間の拘留が12月20日に勾留折り返しとなったため、慣例に従い、当然のことのようにされに10日間の拘留延長を申請したところ、東京地方裁判所は「前の事件と争点及び証拠が重なる」として拘留延長を却下した。この日、ゴーン会長は釈放される可能性が高かったのである。
 止む無く、東京地検特捜部は、急遽ゴーン元会長の特別背任罪での逮捕に踏み切った。これを受けて、東京地裁は、12月23日、ゴーン会長の拘留決定した。
ゴーン元会長は、2006年以来、個人金融資産の管理運営を新生銀行に委託していたところ、2008年10月、リーマンショックに伴う急激な円高により、自身の資産管理会社が新生銀行と締結していた通貨スワップ契約に巨額の損失を抱えることになった。
 この含み損に対して、新生銀行が担保不足による追加担保の提供を要請したところ、ゴーン元会長はこれを拒否し、契約自体を日産に付け替えるよう指示した。
 新生銀行側は、日産への契約移転には取締役会の決議が必要と指摘し、これを受けて、ゴーン元会長の意を受けた当時の秘書室長は、損失付け替えの具体的な内容については明らかにせず、「外国人の役員報酬を外貨に換える投資」について秘書室長に権限を与えるという形をとって取締役会の承認決議を得た。この取締役会の決議を受けて、新生銀行は契約移転に応じることとし、2008年10月、約18億5000万円の評価損を含む通貨スワップ契約は日産自動車に移転された。―― これが、特別背任における第1の被疑事実である。
 その後、証券取引等監視委員会は新生銀行の関連会社に対する検査を通じてゴーン元会長の損失付け替えを把握し、「本件での日産自動車側取締役会決議はコンプライアンス上の重大な問題がある」として是正を求めた。
 また、同じころ、日産自動車の会計監査人である新日本監査法人も会計監査の過程で本件損失付け替えを把握し、「会社が負担すべき損失では無く、これは背任にあたる可能性もある」と日産側に指摘した。
 外部からの相次ぐ指摘を受けて、ゴーン元会長は本件通貨スワップ契約をゴーン自身の資産管理会社に再移転することにした。この際、巨額の評価損に対応する追加担保が必要になったが、サウジアラビアの知人が外資系銀行発行の約30億円分の「信用状」を新生銀行に差し入れたため、ゴーン元会長は追加担保の提供を免れることができた。
 その後、ゴーン元会長は、この知人が経営する会社の預金口座に、中東での販売促進などを担当しているアラブ首長国連邦の子会社「中東日産」の口座から、2009年6月~2012年3月にかけて、3~4億円ずつ全4回に亘り合計1470万ドル(約16億円)を販売促進費名目で振り込ませた。→その資金は、「 CEO Reserve 」と呼ばれる日産の最高経営責任者直轄の費用枠から捻出されている。―― これが特別背任における第2の被疑事実だ。
 ゴーン元会長は、損失付け替えについては、結果的に契約を再移転していることなどから、「日産の損失は無く、背任に当たらない」と主張するのだ。また、知人への支払は、サウジアラビア政府や王族へのロビー活動あるいは現地販売店と日産との間で生じていた深刻なトラブルの解決の協力など「日産のための仕事をしてもらっていた」と説明して、正当な業務の対価だったと主張しているのだ。





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