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2019年3月18日 (月)

Science 初期口腔がん早期診断には ~蛍光診断法の確立~ ①

里村一人(鶴見大学歯学部口腔内科学講座教授)さん・舘原誠晃(鶴見大学歯学部口腔内科学講座講師)さん・佐藤徹(鶴見大学歯学部口腔内科学講座准教授)さん・藤永桃歌(鶴見大学歯学部口腔内科学講座臨床助手)さんらで研究文を発表。→コピー・ペー:
1. わが国の口腔がんの現状
 口腔がんのみを対象とした正確な全国調査は実施されていないが、厚労省の人口動態統計によると、口腔・咽頭がんによる死亡者数は人口10万人あたり、1975年には男性2.4人、女性1.3人、1995年には男性5.1人、女性2.9人であったが、2017年には男性8.8人、女性3.3人となり増加の一途をたどっている。また口腔がんはすべてのがんの中の2~3%、全頭頸部がんの約40%を占有。好発年齢は60代で、近年若年者における罹患率に上昇傾向がみられるようになってきた。性別では、3 : 2 と男性に多い。
 口腔は、「食べる」、「味わう」、「話す」、「表情をつくる」など、人が人間として尊厳ある文化的生活を送る上で極めて重要な臓器であることから、その形態と機能を温存する意味からも、口腔がんの早期発見は需要である。しかしながら、口腔に発生する上皮内がんや初期浸潤がんは平坦病変として存在するため肉眼的に認知困難なことが多く、これらを正確に診断する技術の確立が強く望まれている。
2. 光線力学的診断と5-アミノレブリン酸
 何らかの光感受性物質を投与し、腫瘍に特異的に取り込ませ蓄積させた後に特定波長の励起光を照射し、その物質が発生する特定波長の蛍光を検知することにより肉眼的には認識困難な微小な腫瘍を診断する方法を光線力学的診断 (PDD : photodynamic diagnosis) という。すでに脳神経外科領域や泌尿器科領域等においては、術前や術中の診断に応用され、その有用性が示されるようになってきている。特に、副作用が最も少ない光感受性物質である 5- アミノレブリン酸 (5-ALA : 5-aminolevulinic acid) を用いた PDD が現在注目されている。
 5-ALA は動植物の生体内に含まれる天然アミノ酸の一つだ。生体外より投与された 5-ALA は細胞内に取り込まれ、ミトコンドリア内でプロトポルフィリンⅨ (PpⅨ) に変換される。正常細胞においては、血液中のヘモグロビンや薬物代謝酵素である P450を構成するヘムに迄 代謝される。
 一方、がん細胞ではヘムへの 代謝が障害されており、PpⅨが細胞内に蓄積する。このPpⅨには光反応性があり、405nmの青紫色光で励起すると635nm/705nmの赤色蛍光を発するという特徴がある。この性質を利用してがん細胞のみを赤色に発光させることにより、腫瘍性病変を正常組織から鑑別することができる。
 5-ALA を用いた初期口腔がん診断のために、当講座で開発した装置を用いて診断している写真がある(略)。
 左側口腔底部に発生した口腔がんに対して本診断方法を適用した症例では、口底部の腫瘍を中心にヨード生体染色での不染域が認められている。本症例は視診、触診や臨床経過等から明らかに口腔がんが疑われる症例であり、このような症例においては本診断方法を適用する意味はあまり大きくはない。





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