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2019年4月19日 (金)

Clinical ファイバーで補強された高強度硬質レジンブリッジの基礎と臨床 ②

続き:

                       

1. 高強度硬質レジンブリッジとは

 

 現在の保険診療で使用可能なFRC ブリッジである「高強度硬質レジンブリッジ」とは、「上下顎両側第2大臼歯によって左右の咬合支持が確保されている患者の第2小臼歯の欠損症例に対する、グラスファイバーフレームに高強度硬質レジンを築盛して製作された第1小臼歯、第1大臼歯支台の3ユニットブリッジ」と規定されている。

 算定条件は前述の欠損を有し、過度な咬合圧が加わらない症例とされており、また歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者においては、臼歯部1歯中間欠損に限り保険算定することができる。ただし、医科の保険医療機関または医科歯科併設の医療機関の医師との連携の上で、診療情報提供(診療情報提供の様式に準ずるもの)に基づく場合に限るとなっている。

 

◆ 高強度硬質レジンブリッジの保険点数

 形成料 (1歯につき)

   ◍ 失活歯                    166

   ◍ 生活歯                    306

 歯冠形成加算 (1歯につき)          470

 ブリッジ形成加算 (1歯につき)         20

 印象採得                      282

 咬合採得                       76

 リテーナー                     100

 高強度硬質レジンブリッジ           2500

 ブリッジ材料料                  1000

 装着料(装着材料料を含む)           150

 内面処理加算                     90

 維持管理料                      330

 <合計>

  ● 両支台歯が失活歯の場合     6440 点

  ● 両支台歯が生活歯の場合     6720 点

 

2. グラスファイバーフレームとは

 

 工業材料として繊維複合化技術は非常に幅が広く、重要な項目とされている。2018年の年間生産は長繊維(ロービングガラス)だけでも約523万トンを超え、すべてのガラス繊維製品を含めると3658万トンとなる大規模な市場であり、最新鋭飛行機や船舶のフレームなどから、ファストフード店などで使われているプラスチックトレーまで幅広く利用されている。

 補綴装置のフレームとして応用された歴史は意外に古く、1960年代には全部床義歯への補強材として使用された。

 現在、保険診療にはEガラスが多く使用されている。Eガラスは比重が小さいにもかかわらず、引張強度や弾性係数が高く、比強度に優れ、レジン系材料との接着性も優れている。FRC ブリッジのメインフレームに使用されている材料は、連続した繊維であるEガラスをマトリックスレジンで単一方向に収束させたもの(ファイバーC&B、G.C.社)となる。また、支台装置への補強材として用いられるファイバーコーピングには、先と同じ処理が施されたEガラスを90度の角度で編みこみ、シート状に加工したもの(ファイバーネット、G.C.社)が使用される。

 

3. FRC ブリッジの利点

 

 FRC ブリッジは鋳造作業が必要ないため製作工程や間接・直接材料の減少、製作時間の低減が見込まれ、総合的な対コスト効果が期待される。さらに、前装材料は長い臨床データに裏付けされる信頼性の高い材料となっている。臼歯部1歯欠損程度であれば約800MPa 以上の曲げ強さを示し、ブリッジ応用への安全性が示唆されている。また、これら前装材料の多くは、ナノフィラーも使用されているため、優れた機械的性質に加え、耐変色性、耐艶低下性、を持っており、審美的、衛生的に良好な状態を長期間保つことができる。

 

 

 

 

                       

 

 

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