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2019年4月23日 (火)

Clinical ファイバーで補強された高強度硬質レジンブリッジの基礎と臨床 ⑥

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5) FRCブリッジの接着

  接着操作では、接着面が接着材に対して最適な接着面となるよう、適切な前処理が求められる。FRCブリッジでは、支台装置内面がファイバーネットで構成されているため、接着対象はガラス繊維とマトリックスレジンとなり、それらに対してシラン処理をすることで接着性を持たせる。従って、FRCブリッジの支台装置内面の前処理は、装着直前のアルミナブラスト+シラン処理となる。

  実際の装着術式としては、試適・調整終了後に支台装置内面に対して0.1~0.2MPa、30μmでアルミナブラストを行った後、シラン処理を行う。ラボサイドでアルミナブラストが行われた場合、口腔内試適に際し、唾液に代表されるさまざまな接着阻害因子が、ガラス繊維の絡み合ったファイバーネットに侵入してしまう可能性がある。

  複雑に絡み合ったガラス繊維の隙間に入り込んだ接着剤阻害因子の除去は困難を極める。その為、口腔内試適時の支台装置内面はレジン面として、試適・調整が完了した後にアルミナブラストを行って、装着直前に新鮮なガラス面を露出させる。また、アルコール等による超音波洗浄は行ってはならない。

  支台歯に対して以前から行われている前処理にて接着性レジンセメントとの一体化を得ることができる。しかし、間接法で製作されるFRCブリッジはテンポラリーブリッジ使用による仮着材の影響によって、プライマー等の前処理の効果が減少してしまう。そのため、テンポラリーブリッジ撤去後は徹底的な仮着材の除去が求められ、この操作が高い接着強さを獲得するための重要なポイントとなる。

  すべての被着面処理完了後、歯質に対するプライマーを有した接着性レジンセメントを用いる。FRCブリッジへのセルフアドヒーシブレジンセメントの使用は推奨しない。

  また、現在多くの接着性レジンセメントはヂュアルキュア型となっているが、その多くが光に依存した重合となっている。ブリッジ装着時には余剰セメントを除去したのち、可能な限り多くの光をセメントに届ける必要があるため、適切なメインテナンスが施された高出力の光照射器を用い、十分な照射時間を与えたのち、接着操作を終了する。

  ブリッジ装置後は、24時間経過したのちの次回のアポイントにて細かな余剰セメントを除去。接着性レジンセメントを強固に付着した人工歯石としないためにも、丁寧な余剰セメントの除去がFRCブリッジの良好な長期予後につながる。

  適切な術式に従い設計・製作・装置されたFRCブリッジは、良好な経過が得られると筆者(新谷)は信じている。

 

 おわりに

  メタルフリー固定性欠損補綴は高い審美性と生体安全性を併せ持つ、すばらしい装置であることに違いはない。CAD/CAM冠や、このFRCブリッジも10数年前から販売され、自費用の補綴装置として使用された経緯があり、長い歴史に支えられた技術である。しかしながら、適切な使用方法を知らずに慣れ親しんだ金属と同じ使い方をすると、容易に失敗してしまう危険性を併せ持っている。

  近年の保険治療のメタルフリー化は避けられない状況にあり、この潮流を乗り切るために、われわれ歯科医師はもう一度奮起して、新しい知識と技術を貪欲に吸収することが求められている。本稿が諸兄の臨床の助けとなり、多くの患者の利益となることを切に筆者(新谷)は願う。

                       

 

 

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