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2019年4月 7日 (日)

Science 間葉系細胞 (MSC) 移植による顎骨再生療法の可能性 ②

続き:

                       

1.再生医療の置かれている現状

 

1) 最新の MSC (Mesenchymal stem cell) の細胞移植法

 細胞を用いた再生医療は、MSC や iPS 細胞、ES 細胞がその資源の候補として挙げられ、一部が臨床応用されている。これらを用いた再生医療等製品の開発や、臨床研究開始のニュースを耳に機会は多い。 iPS 細胞や ES 細胞を使った再生療法は、倫理的問題や再生医療に仕えるレベルの細胞・組織・臓器まで分化誘導する技術開発が急速に発展し、現在臨床応用が始まっている。

 2014年に理化学研究所で、iPS 細胞由来細胞を加齢黄班変性の患者に応用されたことに始まり、京都大学ではパーキンソン病患者に他家 iPS 由来神経細胞を移植する医師主導治験が始まった。また札幌医科大学とニプロは共同開発として、自家骨由来 MSC を用いて、脊髄損傷の症状改善を目指す初の再生医療製品(ステラミック注)の製造販売を条件付きで了承され、2019年にも実用化される見通しである。本製品は自己骨髄から MSC を採取し、その後細胞培養加工施設 (CPC : Cell Processing Center) で無菌状態を維持したまま移植に必要な細胞数まで大量培養したあと、患者へと MSC を投与する計画である。

 また国内で潜在患者を含めた約2,500万人の変形性膝関節症患者を対象に軟骨細胞シート (グンゼ、セルシード)や自家軟骨細胞移植(オリンパス)、他家滑膜由来 MSC (中外製薬、ツーセル)、iPS 細胞 (旭化成、京都大学)によって多様な治療法の開発を産学協同で手がけている。このように iPS 細胞や MSC を細胞ソースとした再生医療等製品の開発や研究が一定の成果を挙げてきた。

 

2) MSC とは

 そもそも MSC とは、中胚葉由来の体性幹細胞であり骨や血管、心筋などの組織に分化能を持つ細胞集団を意味する。また近年では、胚葉を超えて内胚葉由来の神経系細胞に分化能を持つことが明らかにされてきた。近年の再生医療においては、MSC を用いた再生医療等製品の開発が進んでおり、歯科領域における再生医療においても、中心的な役割を担っている。

 これまでの研究で、歯周組織を構成する骨芽細胞、歯根膜およびセメント芽細胞を供給できる幹細胞は、帽状期以降の歯胚外周に形成される歯小嚢中に存在し、歯周組織発生過程で前駆細胞への分化を経て歯槽骨を形成する。その後、成人の歯周組織内でもこれら MSC は維持され、組織恒常性の維持に関わると報告されている。

                       

 

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