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2019年4月24日 (水)

Topics 現代の歯科医院に必要な予防的視点~患者・スタッフトタブル予防のポイント~ ①

 
 
 
 
 
 
 
 

小畑 真(弁護士法人小畑法律事務所代表、弁護士-東京弁護士会所属、歯科医師・歯学博士)さんの小論文を記載する。

 

 はじめに

 

  医療の分野は、いまだ疾病に対する治療が大部分を占めているが、国民や医療機関の医療・健康に対するパラダイムシフトから、「予防」「健康長寿」にフォーカスし、疾病予防、ひいては、心身の健康長寿のための医療を実現していく方向に進んでいる。このことにより、医療費も減少し、社会全体のストレス緩和が見込まれる。

  「治療」から「予防」、そして「健康」にフォーカスすることによるメリットは、日々の歯科臨床を例に考えると容易に想像できる。例えば、生活管理がなされず、重度の歯周病が進行しているなどして、口腔内が崩壊しているケースでは、治療の時間、費用(医療費)および患者・医療者双方のストレスはかなり大きいものになる。治療する側としては、そこに大きなやりがいを感じることもあるかもしれないが、そのような口腔内に至った患者のさまざまな背景から、思うような治療を行うことができなかったり、場合によっては、治療が中断されることによりさらに状態が悪化してしまい、ますます治療に要する時間と費用がかかることも往々にして存在する。

  一方で、歯科の専門家の指導のもと、生活習慣や口腔内の管理がなされ、大きな治療が必要ないケースでは、現状を維持するために、患者・医療者双方、時間も費用もストレスさほどかからない。仮に問題が生じても、すぐに対応出来る為、当然、時間も費用も必要以上にかからず、健康で有益な生活を送ることができる。つまり、「治療」よりも「予防」、「健康」にフォーカスすることによって「時間」、「費用」、「効果」を獲得することができるのである。

  このことは、「トラブル」においても同様である。大きなトラブルが生じてから対応しようとすると、そこには多大なストレス、時間、費用が掛かる上、着地点が望むようなものにならないこともある。場合によっては、一生尾を引くケースも少なくない。一方で、大きなトラブルになる前に、事前準備、つまりは「トラブル予防」を行っておけば、さまざまなリスクを回避し、事後的に「時間」、「費用」を費やす必要がなくなる。したがって、「トラブル対応」よりも「トラブル予防」にフォーカスすることによって「時間」、「費用」、「効果」を獲得することができるのである。

  また、近年、歯科医療トラブルは増加するとともに、その内容も大きく変化してきている。インターネットを介して、いつでもどこでも誰でも容易にさまざまな情報を得ることができる現代社会においては、当然、自己の権利について情報収集も容易なため、権利意識が高くなる傾向にある。しかも、以前は認識されていなかった情報を認識できるようになったため、今まで全くトラブルにならなかったことが、大きなトラブルに発展することもしばしばある。さらには、誤情報に起因するトラブルから、多大な損害を被る歯科医院も出てきている。

  医療現場では、あらゆるシチュエーションでトラブルが発生する可能性があるが、このような現代社会においては、ますます「トラブル予防」の視点が必要になってくる。そして、医療現場は、ほとんど「契約」で成り立っているため、「契約」を理解することが、「トラブル予防」の近道となるのである。

  本稿では、医療現場における「契約」の中で、実際にトラブル事例が多い、患者トラブルおよびスタッフトラブルについての予防視点について解説する。

 
 
 
 
 
 
 
 

 

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