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2019年5月17日 (金)

~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ⑤

続き:

 

   R ・フロリダの 「転向」 宣言

 昨今、都市研究者の間で衝撃的なニュースになったのは、R・フロリダ(トロント大学教授。都市社会学)の「転向」である。2002年に「創造階級が都市の革新と成長を牽引する」という創造都市論を唱導し、時代の寵児になった。そして創造都市論は、グローバルな都市間競争の時代に「都市政府が目指す都市規範」と崇め奉られた。日本でも翻訳出版され、信奉者が類書を競って執筆した。

 ところがフロリダは2017年春、新著『新しい都市危機』を出版し、自説の欠陥を列挙して、大幅に修正したのである。

 ここで創造都市論は、どのような内容かを整理しておく。従来の都市政府は、都市の活性化を目指して大企業誘致に奔走したが、都市経済の革新、成長を実際に牽引するエンジンは、高学歴の高給を稼ぐ知的エリート集団(創造階級)である。革新的な企業は創造階級が集積する都市に引き付けられる。

 スタートアップ(起業)もその周辺で多く発生する。したがって、都市政府は創造階級を魅了するエコシステム(大学などの知的環境、高い「生活の質(QOL)」)に投資をしなければならない、という説である。―――クリエイティブクラスターの形成。

 ところがフロリダの新著の副題は「我々の都市は不平等が拡大し、社会の分断を深化し、中間階層を解体する」である。―――「我々の都市」とは、創造都市のこと。

 その論点は、アメリカは21世紀を迎え、「独り勝ち」の都市構造を露わにするようになった、というところにある。そして創造都市は潜在的、本質的に社会格差を拡大し「新しい都市危機」を育む、と吐露している。

           「転向」宣言である。

 

 

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