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2019年5月11日 (土)

都構想・万博・カジノ ⑤

続き:

   「財政民主主義からみた大阪の自治」の続き。

 IRによって大阪府・市には年間700億円の収入が見込まれ、これを両者で折半するとすればそれぞれ300~400億円程度の収入を得ることになる。この収入にはカジノ以外のIR施設の設備・運営のために使われる分も含まれる。IRの収益の大部分はカジノによるものであることから、これらの財政収入はカジノ(ギャンブル)で負けた者から吸い上げた金が原資だ。

大阪府・市はギャンブル依存症の独自対策をとるとしているが、その内容はIR事業者を参加させた協議体を設置し、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の技術を駆使した先進的な取り組みをするという。またIR事業者に対して、彼らの申告に基づいて利用制限をかけられる仕組みや24時間365日利用可能な相談体制の構築を求めるとしている。

 これらの依存症対策は、その効果と利益が相反するIR事業者の意向を重視したものとなっている。

 大阪府・市にとっては、効果的な依存症対策が新たの財政負担を引き起こすだけでなく、その目的であるカジノからの財政収入を減らすことになるというジレンマを抱えることになる。大阪市の取り分となる収入額は、将来株式の民間売却が予定されている地下鉄の経営黒字とほぼ同じ金額でしかない。これも財政運営の観点からは矛盾した対応だといえる。

 大阪は防災対策のみならず、水道管をはじめとする社会資本の老朽化が全国的にみても極めて深刻である。これらの更新や維持補修に注力せずに、建設のための貴重な人的・経済的・技術的資源を夢洲開発に投入するこては、既存の社会資本に支えられている市民の暮らしや企業の活動を軽視するものだ。

 大阪で急増している高齢者や支援の必要な子どもの数をみれば、産業・雇用づくりの面でも福祉や教育の分野に力を注ぐべきであろう。

 「大阪都構想」からはじまった維新の会の維新政治の流れをみれば、財政民主主義を求めてきた大阪市民が政治に翻弄されつづけた姿がある。

 いま維新政治によって、市民が批判してきたはずの巨大開発がより深刻な事態となって再現されつつある。そこに自分たちが望まないIR=カジノの誘致に奔走する政治行政の実相が有る。それに対しては市民間の分断を超えた批判が成立するはずである。そして、現在市民として共に暮らす仲間へ寄り添う気持ちを取り戻すことで、分断都市は包摂都市へと生まれ変わることも可能ではない。大阪の財政の運営と制度はその観点から再検討されるべきである。

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