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2019年5月22日 (水)

Clinical ~新規医療機器「エピシル口腔用液」を中心に~ ①

上野尚雄(国立がん研究センター中央病院歯科医長)さんの研究文―「新規医療機器→エピシル口腔用液は薬効成分を持たず、物理的保護作用により口腔粘膜炎の疼痛を緩和する」と述べている。   コピー・ペー:

 

はじめに

 

 がん化学療法や造血幹細胞移植、頭頸部がん放射線治療において、口腔粘膜炎は発症頻度の高い有害事象の一つである。標準用量の化学療法を受ける患者の5~15%、骨髄抑制を伴う化学療法では50%程度、造血幹細胞移植等に関連する高用量化学療法では患者の68~98%が口腔粘膜炎を引き起こす。

 また、一部の分子標的薬剤 (mTOR阻害薬、EGFR-TKIなど)によっても、殺細胞性の抗がん剤以上の高頻度で口腔粘膜炎が発症する。

 口腔粘膜炎は、口唇の裏面、舌の側縁や裏側、頬粘膜や軟口蓋周辺など、可動性の高い、角化のない粘膜に好発する。粘膜の発赤や浮腫状変化を経てびらん・潰瘍形成に至り、重症化すると自然出血や組織壊死を呈することもある。通常は発症後1~2週間程度で治癒することが多いが、感染など併発すると重症化し、治癒が遅延する。疼痛を伴い、食事や会話を障害するなど患者のQOLに直結する有害事象である。

 粘膜炎は頻度が高い有害事象であるものの、いまだ確立された予防法や治療法に乏しく、またグレード1~2の軽度~中等度で自然に消退する症例も多いことから、対応が軽視されがち、あるいは後回しになりがちな面があった。しかし、口腔粘膜炎は、①疼痛により患者のQOLを下げ、闘病意欲を減退させてしまう、②経口摂取を妨げ低栄養や脱水を惹起し全身状態を悪化させる、③骨髄抑制期の重大な感染リスク因子であり、潰瘍部の二次感染から全身感染症へ波及させる門戸となる、など局所の問題に止まらず全身的な合併症へ波及するリスクがあり、がん治療の予後や、医療経済的な側面でも悪影響を及ぼすことが報告されている。

 口腔粘膜炎の適切な管理、予防、治療は、がん治療の質を担保し、患者の療養生活の向上を支持する重要な支援となる。

 

⦿ 粘膜炎の発症頻度

 標準的な化学療法          5~15%

 骨髄抑制の強い化学療法       50%

 頭頸部放射線療法            50%

 自家造血幹細胞移植          68%

 骨髄破壊的同種造血幹細胞移植   98%

 頭頸部化学放射線療法         97%

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