« 都構想・万博・カジノ ③ | トップページ | 都構想・万博・カジノ ⑤ »

2019年5月10日 (金)

都構想・万博・カジノ ④

続き:

 

   財政民主主義からみた大阪の自治

 

 大阪の市民が維新の会の政治を支持してきた最大の理由は、漠然と感じてきた財政の無駄遣いに対する批判にあった。それは、市民が財政を自分たちのために統治するという財政民主主義への期待であると言い換えることができる。しかし、今の大阪で進もうとしている事態はそれとはかけ離れたものとなっている。

 「二重行政をなくす」ことを目的にした「大阪都構想」の内実は財政悪化を招ものでしかない。2025年に開催される大阪万博は夢洲での巨大開発を引き起こし、大阪市に膨大な財政負担を強いることになる。大阪市の財政悪化の重大な原因となってきた「阿倍野再開発事業」にはこれまで4800億円以上がつぎこまれ、その最終損失額は2000億円近くにのぼることが発表されている。

 夢洲開発はそれ以上の財政リスクとなる可能性がある。また、夢洲への訪問客のための防災対策をとる一方で、その背後に広がる南海トラフ巨大地震の広大な津波浸水想定地域を放置することは決して許されない。

 万博の跡地利用としてのF1レース会場整備も市民が求めているとは考えられない。大阪メトロが計画している夢洲駅のタワービルは、事業の規模と費用の両方の点で、1995年に竣工された大阪ワールドトレードセンターとほとんど同じである。すでに述べたように、この大阪ワールドトレードセンターは悪しき二重行政のシンボルとして最も取り上げられてきたものであり、大阪市の財政危機を引き起こす大きな要因でもあった。

 しかも当時とは異なり、大阪市財政は義務的支出がきわめて大きくなっている。例えば、1996年度(決算)と2018年度(予算)を比べれば、扶助費は2262億円~5702億円(うち生活保護費は1127億円~2823億円)へ2.5倍(うち生活保護費も2.5倍)、公債費は1053億円~2802億円へ2.7倍へと増加。

 巨大開発による財政リスクがそれ以前に比べてはるかに大きくなっているのは間違いない。さらには万博にかこつけて、市民が望んでいないIRをその前年(2024年)からオープンさせようとしている。財政民主主義という観点からは、いずれも大阪市民のニーズとは大きな乖離があるといってよい。

 大阪府・市はIR誘致を正当化するために、その経済効果を強調している。IR基本構想案では年間来場者数は延べ2480万人にのぼり、その経済波及効果は近畿圏全体で年間7600億円におよぶとしている。

 IR開業後の雇用は年間8万8000人になるという。

 しかし、このような経済効果が実現可能なものなのか、それが大阪の市民にどう配分されるのかは不明で、IR=カジノそのものが大阪という都市にとって望ましいものであるのかどうかも真剣に考えなければならないのだ。

« 都構想・万博・カジノ ③ | トップページ | 都構想・万博・カジノ ⑤ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事