« ~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ③ | トップページ | ~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ⑤ »

2019年5月15日 (水)

~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ④

続き:

 

   グーグルの、「よき市民」としての進出戦略

 NYでは、フェイスブックやリンクトイン、ウーバー・テクノロジーズなど情報系ハイテク企業の進出、業容の拡大が相次いでいる。「第2シリコンバレーになる」(フィナンシャル・タイムズ)と指摘されている。

 グーグル事例を紹介する。グーグルがNYに駐在員を置いたのは2000年。マンハッタンのスターバックスを「オフィス」に、一人からのスタートだった。その後、業容拡大し、現在7000人(営業、マップやクラウドの技術者)が働く。

 昨年はチェルシーマーケット(ビスケット工場を転換した市場とオフィスビル)を買収し、さらにハドソン川沿いの広大な敷地に建設された超高層ビル3棟を取得した。近々、陣容は1万4000人になる。

 グーグルの進出、業容の拡大は、アマゾンが進軍ラッパを吹き鳴らし、「釣書」をかき集め、巨額の利益供与を得てNY進出、を決めたのとは対照的である。静かに、政府に利益供与をねだることもなく、「よき市民になる」戦略(コミュニティで企業の支援基金を設立、貧者対象のIT講座を開設、水上タクシー埠頭の建設支援など)に徹してきた。

 そのため議会、コミュニティのいずれからも声高な批判は上がっていない。一方、反対運動の盛り上がりにあわてたアマゾンは、ロビイストを雇って地元対策に奔走したが間に合わなかった。それでもグーグルの拡張はその界隈の家賃の高騰を促進する、という批判が燻っている。

 ニューヨーク・タイムズによると、NYのファイナンス分野の雇用は47万人である。2008年の経済危機直後に比べて12%増。半面、広告・情報系ハイテク分野は36万人。31%の増加である。今後、両分野の雇用差はさらに縮まる。ファイナンス、及び広告・情報系のハイテククラスターがNYの都市の「かたち」で圧倒的な存在感を示すようになる。

 「贅沢都市」戦略に呼応しただが、半面、「その新自由主義政策は極端な所得格差をつくった」「ホームレスを急増させた」「コミュニティでは、白人リッチ層と貧しいマイノリティの亀裂を拡大した」という批判が付きまとう。「アマゾンの進出」に反対する渦は、ブルームバーグ市政が展開した「贅沢都市」戦略――それを指弾する創造都市批判と同心円上で広がった。

 

« ~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ③ | トップページ | ~ アマゾンのNY進出騒動から読む~ ⑤ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事