« 都構想・万博・カジノ ① | トップページ | 都構想・万博・カジノ ③ »

2019年5月 8日 (水)

都構想・万博・カジノ ②

続き:

 

  万博・カジノの財政問題

 「大阪都構想」をめぐる住民投票の再実施が政治の表舞台に大きく立ち上がった契機は、2018年11月に決定された2025年国際博覧会(万博)の大阪開催であった。万博については大阪の政財界が中心になって誘致活動を進め、市民の中にもイベントとして実施することに対する賛同は一定程度みられてきた。万博誘致に成功すれば、大阪の政治を牽引してきた維新の会の成果として市民へアピールする絶好の機会となる。それが現実となったタイミングで、維新の会が「大阪都構想」を一気に政治の俎上に載せたいと考えるのは当然であった。

 大阪の政治行政という点からみた場合、今回の大阪万博の特徴は次の2点だある。

 第1に、万博会場として大阪市の人工島・夢洲が予定されているのである。大阪での万博開催の可能地が検討された2015年では、すでに整備されている万博記念公園や花博記念公園など6カ所が対象とされ、夢洲は候補地から外されていた。夢洲が2016年に突如として検討対象に加わったのは、松井知事の「思い」であると説明されている。元来、夢洲は産業廃棄物や浚渫土・残土等の処分場として整備されたものであり、現在もかなりの部分は海の状態である。

 万博会場建設のためには2022年度中に155ヘクタールの埋め立てを終了させる必要がある。土地造成やインフラ整備の総事業費は7年間で950億円にのぼり、その財政負担は基本的に所有者である大阪市が負う。この中には、夢洲への地上からのアクセスを確保するための地下鉄(大阪メトロ、大阪市100%株式保有)の延伸540億円や夢洲大橋の拡張費40億円、万博予定地の急速埋立て費用136億円、上下水道の整備132億円などが含まれている。

 また、万博の会場建設費1250億円については国、経済界、大阪府・市が1/3ずつ負担することになっている。大阪メトロは新しく「夢洲駅」(仮称)を整備するとし、それに直結するタワービルを高さ275メートル、総事業費1000億円超の規模で建設するとした。さらに、2018年に大阪を直撃した台風21号でコンテナヤードや大型クレーンが倒壊するなど人工島の夢洲は防災面において脆弱であり、それに必要な防災対策費用はきわめて不十分である。

 松井知事はこの台風で水没した関西空港よりも夢洲は地盤を高く埋め立てるので安全だとしているが、直下にある粘土層が埋め立てによって圧密沈下する状況は同じである。2020年東京五輪関連支出の見込みが当初の7000億円~3兆円超になったことからも類推されるように、大阪万博関連の財政負担は現時点の想定をはるかに超えるであろう。

 この万博会場の跡地については、吉村市長が「F1 のモナコ・グランプリのような大会を誘致し、世界から人を呼び込めるような環境を整えたい」として、将来的な公道レースが誘致できるような仕様に再整備していきたいとしている。これらの「思い」も新たな財政負担を引き起こす。

 特徴の第2点は、万博会場となる夢洲が、「カジノを含むIR」(統合型リゾート)と不可分となっていることである。各種世論調査によれば、大阪ではIRの誘致に反対する市民の方がはるかに多い。にもかかわらず、夢洲へのIR誘致はすでに既成事実であるかのように進められている。その開業は2024年の予定であり、万博開催よりも1年早い。

 

« 都構想・万博・カジノ ① | トップページ | 都構想・万博・カジノ ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事