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2019年5月 3日 (金)

「内の目外の目」第196回 ②

続き:

 

(1) 金銀パラジウム合金

  保険診療における歯冠修復材料として広く使用されている歯科用金銀パラジウム合金は、医療機器としての許認可の基準および特定保険医療材料の定義にJIS適合品であることが規定されている。

  しかし、1982年~84年の貴金属の価格高騰を背景に、貴金属成分量が基準に適合しない粗悪品や無許可製造品などが出現し、1984年4月に厚生省(現:厚労省)から「歯科用金銀パラジウム合金等に係る薬事法違反の再発防止について」の指導通知が発出され、適性品認定制度を設け適正品に自主認定マークの表示を行うことなどが指示された。

  これを受け、歯科材料組合では、定期的に市場から製品を抜き取り、造幣局での成分分析による貴金属成分量の確認を行い、歯科材料組合が適正と認めた製品に金銀パラジウム合金シールを貼付することとした。

  また、金銀パラジウム合金を製造するすべての企業がJISマーク表示許可工場の認定を取得することとし、医療用具GMPの順守による品質確保の徹底を指導した。これを契機に歯科材料組合による造幣局での成分分析と品質を確認した製品への金銀パラジウム合金シールの貼付は現在も継続実施している。

 

(2) CAD/CAM冠用材料

  2014年4月に先進医療「歯科用CAD・CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴」が保険適用となり、小臼歯のCAD/CAM冠が保険導入された。このCAD/CAM冠に用いる製品の製造販売には登録認証機関による認証が必要であるが、JISが設定されていないため、その性能評価の試験方法や基準値定められておらず、各社の判断とされている。

  また、特定保険医療材料の定義にも性能基準の定めがなく、数多くの製品が保険材料として認可される一方で、保険導入初期に破折や脱離の症例が数多く報告された。

  歯科材料組合では、2010年に日本歯科医師会の歯科医療機器委員会が取りまとめた「金銀パラジウム合金に代わる新素材の基準値」を参考に団体規格を作成することとし、CAD/CAM冠用材料を製造販売する企業の研究者とアカデミアによるCAD/CAM冠規格基準WG(ワーキンググループ)を設置して、性能評価項目と試験方法を定め、用途に応じた基準値を設定した団体規格JDMAS245「CAD/CAM冠用歯科切削加工用レジン材料」を制定した。

  その後、この団体規格のタイプ2(大臼歯用)の基準値を満足する材料が開発・上市され、臨床使用による有効性・安全性が確認され、2018年1月に区分C2でCAD/CAM冠用材料Ⅱ(大臼歯用)が保険導入された。その際、特定保険医療材料の定義に、曲げ強さ240MPa以上、ビッカース硬度75HV 0.2以上、吸水量20μg/mm立方以下の性能基準が定められた。

  保険材料が小臼歯用と大臼歯用の2種類となり、特に大臼歯用には高い性能が要求されることから、歯科材料組合では、適切な材料の選択、歯科医療の安心・安全の観点から、大臼歯用材料について、第三者機関での試験により、団体規格の基準と特定保険医療材料の定義の両方を満足することが確認できた製品にCAD/CAM冠シールを貼付することとした。

  また、CAD/CAM冠シールを貼付した製品については、歯科材料組合が定期的に市場から製品を抜き取り第三者機関での試験による性能確認を実施している。

  このような歯科材料組合における、歯科材料の規格・基準確認の証としてのシール表示は、より安全な歯科材料の提供、そして歯科医療のさらなる安心・安全と質の向上につながるものと確信している。

  

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