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2019年5月24日 (金)

Clinical ~新規医療機器「エピシル口腔用液」を中心に~ ③

続き:

 

 

2. エピシル口腔用液

 

 鎮痛薬の全身投与は、安静時の疼痛は緩和しやすいものの、食事や会話などの際に生じる動作時や接触時の疼痛制御が難しく、時に副作用の懸念により使用が制限される(腎機能障害がある患者へのNSAIDs投与など)等の問題がある。

 また局所麻酔薬による粘膜炎の疼痛緩和は有効ではあるものの短時間の効果しか期待できず、また痛みだけでなく口腔内のすべての感覚を麻痺させるため「おいしく食べる」という感覚にはほど遠く、患者の不快感が大きい、といった問題点が出てくる。

 2018年、この問題を解決できる一つの医療機器が歯科領域で保険収載された。―――「エピシル口腔用液」である。

 「エピシル口腔用液」は口腔粘膜炎の潰瘍表面を接着性の保護膜で被覆して創面を物理的に保護し疼痛を緩和する、という新しいコンセプトの医療機器で、欧州、米国など世界36か国で適用を受けて使用されている。 The European Oral Care in Cancer Group や、UK Oral Mucositis in Cancer Group などの欧州の口腔粘膜炎のガイダンスでも、口腔粘膜炎に対して使用を考慮するよう記載されている。

 

1) エピシル口腔用液の機序

  本製品は、食品添加物である大豆フォスファチジルコリン(SPC)とグリセリンジオレート(GDO)を主成分としており、薬効成分を含まない[そのため本邦では医薬品ではなく医療機器(創傷被覆・保護材)に区別されている]。

  SPCとGDOの両成分は、水分と接触することにより脂質成分の自己組織化(物質が自発的に集合して、規則的な構造をもった分子集合体を形成すること)によって、液体から接着性のゲルに物理的に構造を変化させる。

  これが口腔粘膜に強力に接着することで粘膜炎部位を物理的なバリアとして被覆・保護し、疼痛緩和効果を発揮する(図:略)。

  この一連の反応は本剤の製造元スウェーデンの Camurus 社(Camurus AB, Lund, Sweden) の特許技術 (FluidCrystal) である。

 

※ エピシル口腔用液の有効性

1) 鎮痛薬の全身投与と異なり、食事や会話時の動作時痛、接触痛に有効

2) 局所麻酔薬の使用と異なり、感覚を遮断しないので不快感がなく食事時の楽しみを妨げず、かつ効果の即効性と持続性がある。

3) 薬効成分を含まないことから、副作用や他薬剤との相互作用の懸念がなく、がん治療中の支持療法として安心して使用できる

 

 

 

 

 

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