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2019年6月 4日 (火)

Clinical バイオフィルムを管理→予防歯科 ①

天野敦雄(大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科講座予防歯科学教室教授)さんの研究文である。コピー・ペー:

 

 

1. はじめに

 

1) 昭和のむし歯の洪水

 昭和の昔、むし歯の洪水に溺れる小学生の中に天野もいた。1時間待ちの3分治療と言われた時代だった。「は~い治ったよ。痛くなったらまた来てね」の決め台詞が告げられた時、「これで終わった」と安堵した。この言葉とあの安堵感は、今なお天野の記憶に残っている。そして、歯の病気は治る病気であり、歯科医院は痛くなったら行く所なのだと理解したことも、そして、むし歯は治ったはずだったのに、翌年も、その翌年も歯科検診がある度に天野は歯医者に通っていた。なぜだ?と思いながら。

 

2) また訪れるむし歯の洪水

 むし歯の洪水がまたやってくる。今度は子どもではない。高齢者だ。8020、生涯28、KEEP28、高齢者は是が非でも歯を残す。その歯の中には、やがて彼等の健口を脅かすものも少なからずあるだろう。人生100年時代だというが、”ピンピンコロリ”は一握り。フレイルから寝たきりになった時、高齢者は根面う蝕の洪水と歯周病の嵐に飲み込まれる。寝たきり高齢者の多くが無歯顎であった昭和の昔には想定外だった時代がやってくる。

 

3) 根面う蝕の洪水と歯周病の嵐をどう防ぐ

 この洪水と嵐を防ぐにはどうしたらよいのか。これは今後の歯科界にとって重大問題である。バイオフィルムとの熾烈な戦いは、バイオフィルムを完全に磨き落とす100%歯磨き指導に始まった。バイオフィルム染色の後、厳しい指導を受ける。それも来院時には必ず。1000本ノック如き試練に脱落する患者も少なくなかった。

 やがて、もっと患者に優しい方策として案出されたのが、種々の抗生剤療法、抗菌療法だ。これらはバイオフィルム中の病原菌を駆逐することを目指した療法であったが、期待されたほどの成果には至っていない。バイオフィルム細菌対策には、感染症対策の基本知識の整理が必要。殺菌や消毒等の用語の定義は、法令、業界、学問によってわずかに異なるが、おおむね似たような意味である。→(後:)

 バイオフィルム細菌を駆逐するには滅菌作業が必要だが、滅菌を可能とする方法は2つだけ、オートクレープとガス滅菌である。どちらも生身の人間には適応外である。

 

● 感染症対策に使用されている用語

滅菌→すべての微生物を完全に死滅させること

殺菌→ほとんどの微生物が死滅させること

消毒→病原性微生物を死滅または除去、あるいは無毒化すること

静菌→細菌の増殖を抑制すること

除菌→細菌数を減らすこと

抗菌→細菌に抵抗するという意味。新しい言葉であり、定義が曖昧。細菌増殖抑制の意味で用いられることが多い

 

 

 

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