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2019年7月 7日 (日)

公安警察――――日本型監視社会 ②

続き:

 

<2> 捜査等で集めた個人情報

 

 各都道府県の警察が情報収集活動を担うとしても、そこで収集された個人に関する情報を、本人の同意なく他の行政機関である警察庁や内閣情報調査室に提供してもよいのか、各都道府県の個人情報保護条例(警察庁の場合は行政機関個人情報保護法)が適用され、本人以外からの収集や本人同意なき外部提供は制限されるのではないか、と疑問に思う方もいるかもしれない。残念なことに、捜査及び情報収集活動のために個人情報を収集・管理することについて、行政機関個人情報保護法及び各都道府県の個人情報保護条例による規制はほとんど効果がない。

 収集制限に関する規定が適用されない結果、誰が話したかわからない噂話のような個人に関する情報や、一般に他人に知られたくない思想信条や病歴等の機微な個人情報も本人の同意を得ずに収集できるし、保有個人情報の届出をする必要はなく、本人の開示請求があっても捜査情報であること等を理由に不開示できる。自分に関する情報を、警察が、いつ、誰から入手して、どのように使っているのか、または集められた自分に関する情報が削除されたか等を確認することは出来ない。捜査や情報収集活動で集めた個人情報については、一定期間経過後の廃棄も義務づけられておらず、個人情報保護委員会の監視・監督も及ばない。

 このように、捜査や情報収集活動により得た個人情報等を、事実上、警察が自由に管理・利用できる状況からすれば、警察がその情報をデータベース化して検索できる状態にすることも出来るし、外部に提供することも適法とされかねない。

 実際に、警察が捜査活動で得た情報を、本人に無断で外部提供した例がある。2011年、警視庁が大相撲の野球賭博事件の捜査で力士らの携帯メールを解析したところ、現役力士らが現金で勝ち星を売買する八百長を行っていたことを疑わせるメールが発見され、その資料を警視庁が、日本相撲協会を所管する文科省に提供したという出来事だ。

 この警視庁の行為を問題視するメディアはほとんどなく、責められるべき行いである八百長を指摘した警察は正しいと思われたほどかもしれない。しかし、この出来事は、警察がその気になれば、警察の持つ情報を本来の警察活動以外の目的に使うことも出来る恐ろしさを感じさせた。

 例えば、何らかの容疑で逮捕された女性が持っていたスマートフォンに記録されたメールやラインの履歴から、有名政治家と不倫関係にあったことがわかるようなメッセージのやりとりが出てきたとしたら。そしてその有名政治家が、警察の権限拡大を含む法案(例えば、通信傍受法の適用範囲を拡大する法案や、テロ組織との関係が疑われる市民を犯罪発生前から一定期間身柄拘束できる法案など)に反対するリーダー的な存在であったとしたら。警察官僚がその政治家に接触して、「あなたが女性と不倫関係にあったことの証拠を見つけた」「法案に反対し続けるなら、この情報を記者にリークする」と言ったとき、その政治家は果たして、不倫が世間に暴露される危険を冒してまで、法案に反対し続けることができるだろうか。

 警察の収集した様々な情報が、警察にとって邪魔な人物を社会的に潰すために使われたり、そうした人物をコントロールするために使うことが出来るならば、それは、警察がさらに強大な権力を手に入れることを意味し、その結果、警察が望まない政策や予算・人員削減等が行われる事はなくなり、警察の主張する通りの政策や予算・人員配分が実現出来るようになるだろう。もしかしたら、我々が知らないだけで、既にそれは現実化しているのかもしれない。

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