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2019年7月 9日 (火)

公安警察――――日本型監視社会 ④

続き:

 

<4> 公安警察による情報収集目的の「捜査」

 

 警察においてインテリジェンス活動を中心的に担うのは公安警察部門(各都道府県警察の公安部や外事課、警備課等)だが、公安警察にも刑事警察と同じく操作権があるため、被疑者を逮捕したり、捜査差押えを行ったりすることもある。

 問題は、公安警察が本来、特定の犯罪事実の立証のために行うべき捜査権限を情報収集目的で行使しているのではないかと疑われる事例が幾つもあることだ。

 例えば、2010年、インターナット上に流出した警視庁公安部外事3課の内部文書(当初、警視庁は事態を放置していたが、被害者からの相談を受けた弁護士ら国家公安委員に申し入れを行うなどした結果、ようやく、警視庁が内部文書であることを認めた)に、日本国内に住むイスラム教徒について軽微な形式容疑で逮捕状を取得して、逮捕・拘留中に別の情報収集を進めたり、別人の逮捕に連動した捜査差押えによりパソコン等を押収してパソコンのハードディスクを解析するなどの情報収集を行っていた事実が書かれたいた。

 内部文書には、各警察署の公安部門や外事担当課長宛ての指示(案)として、イスラム教徒を検挙した際の捜査を、「イスラム過激派やテロのインフラの発見、テロ容疑性の抽出にとって極めて有効な武器である」と位置付け、積極的に捜査を実施するように指示する記載があった。捜査差押えを公安警察が情報収集のために利用していることを裏付けている。

 また、刑事訴訟法上、警察が犯罪捜査をしたときは、原則としてその書類や証拠物を速やかに検察官に送るよう規定されている。それにもかかわらず、公安警察が捜査を行った後、何年間も検察官に記録等を送っていた例もあるのだ。

 ある大学生を被疑者とする私戦予備及び陰謀剤について、その大学生を取材したフリージャーナリストの常岡浩介氏の自宅を警視庁公安部外事3課が捜索し、同氏の携帯電話やパソコン、メモリースティック等を多数差押えたが、この捜査記録は、2014年の捜査差押えから4年以上経過した現在も検察官に送致されていない。常岡氏がアフガニスタン、チェチェン、イラクなどの戦場の取材のほか IS (イスラム国)を取材した経験もあることから、同氏が持つ情報を取得する目的での捜査差押えだったのではないかと疑われる。

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