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2019年7月29日 (月)

感染症と人間(4)―①

「人間と科学」第302回 山本太郎(長崎大学熱帯医学研究所環境医学部門国際保健学分野教授)さんの研究文を載せる。コピー・ペー:

 

ポスト抗生物質時代 (2)

 

 「現代の疾病」とも呼ばれる疾病たちがある。肥満、喘息、食物アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎、糖尿病。それに加えて、自閉症やクローン病、潰瘍性大腸炎などを挙げる研究者もいる。この共通項は過去半世紀に急増した病気ということになる。

 

 例えば、肥満。

 肥満は、脂肪の過剰を意味し、それは体重を身長の二乗で割って計算されるボディマス指数 (BMI) で代理される。これまで調査されたすべての人種、民族において、BMI は脂肪量との間に強い相関関係が認められる。

 その事実によって、完全ではないが、BMI は、肥満や過剰体重を評価するための標準的指標となっている。 BMI は20~25が正常である。それが25~30になれば過剰体重であり、30以上は肥満とされる。

 その BMI の平均値が1980年以降、米国で急増した。肥満者の割合は2010年時点で3割を超えた。アメリカの三人に一人は肥満ということになる。アメリカだけではない。事態は世界各地で進んでいる。

 ニューギニアの東2000km の南太平洋西部に浮かぶ国ナウル共和国は、成人の70%が肥満であり、23%が過剰体重である。わずか7%もの人が、こうした環境下でなお、正常体重を保っていることは逆に驚く。

 世界全体で言えば、現在、約15億人が過剰体重であり、2億人の男性と3億人の女性が肥満と推定されている。が、1970年以前に、肥満した人はほとんど見られなかった。それが1980年には、肥満に過剰体重者を加えた人数は約8億となり、現在では、20億人を超える。過去40年間にわたって、毎日8万人を上回るスピードで増えた。

 その増加は、1981年に世界で初めて後天性免疫不全症候群と名付けられ、以降、累積で約6000万人が感染したエイズ流行の勢いさえ大きく上回る。

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