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2019年7月27日 (土)

ゲノム編集食品がやってくる ②

続き:

 

■ 米国ですでに市場に登場している

 国際的にも「規制をしない」動きが強まっている。米国、アルゼンチン、オーストラリアなど規制をかけない国が広がっている。 EUやニュージーランドなどのように、政府自体は規制を外そうとしたが、市民団体などが訴訟を起こし、裁判で規制を勝ち取っているケースのある。

 政府として規制の姿勢を示している国が中国である。米国政府農務省(USDA) の報告によると、中国農業省はゲノム編集技術応用食品について遺伝子組み換え食品並みの規制を行う方針だと伝えている。それでもUSDA は将来的には規制を緩和するかもしれないと指摘している。

 同時に、中国の消費者は GMO に対して否定的であり、農業省が努力をしても、このままでは規制はかんわされないかもしれないとも述べている。

 このように規制について世界各国で見解が分かれる中で、開発を活発化させているのが米国である。その背景には、ゲノム編集関連特許を押さえていることがある。遺伝子組み換え作物の開発大国になったのも、モンサント社が大半の特許を押さえたことが大きかった。今回も、特許の大半をモンサント社(バイエル社に買収された)とデュポン(ダウ・ケミカルと合併)が押えており、開発と商業化は米国が中心になることは必至である。

 米国では特に作物の開発が活発で、中にはすでに栽培され市場化されている物がある。2015年からベンチャー企業のサイアス社が開発した除草剤耐性ナタネの栽培が始まり、2018年にはカリクスト社が開発した高オレイン酸大豆が栽培され始めた。米国中西部のレストランで、その大豆油を用いた揚げ物の食品が提供されていることが明らかになった。

 同社は、レストラン名は公表できないが、すでに流通が始まっている、と述べている(AP、2019/03/12、)。その作物がまもなく、私たち日本の食卓に登場するすることになりそうである。

 現在、最も積極的に開発を進めている企業が、このカリクスト社で、次に蒿食物繊維小麦を2020年までに栽培する予定である。その他にもうどん粉病抵抗性小麦、高オレイン酸低リノール酸大豆などを開発しており、市場化を図っていく予定とのことである。同社以外にもトランス脂肪酸を含まない大豆、変色しないマッシュルーム、アクリルアミド低減ジャガイモ、干ばつ耐性トウモロコシ、収量増小麦などの開発が進んでいる。遺伝子組み換えでは反対が強まり挫折した小麦での開発が目立つのだ。

 日本でも農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、「シンク能改変稲」を開発し、2017年から5ヵ年計画で栽培試験を行っている。この稲は、籾数を増やし、収量増加をもたらすことになっている。世界的には作物だけでなく動物での開発も盛んであり、作物の次は家畜と魚が登場しそうである。

 動物の開発で多いのが、筋肉の発達を抑制するミオスタチン遺伝子を壊し、成長を早めて肉の多くなる魚や家畜の開発である。世界各国の研究所やバイテク関連企業が競って開発を進めており、日本でも京都大学がマダイやトラフグなどで開発を進めている。

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