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2019年7月 8日 (月)

公安警察――――日本型監視社会 ③

続き:

 

<3> 情報収集・分析技術の進化

 

 警察の捜査や情報収集活動の手法も、技術の進歩に伴い、変化している。昔とは比べものにならないほど容易かつ安価に様々な情報を取得出来るようになり、取得した情報を分析、データベース化、検索可能な状態で管理したりすることも比較的容易になった。Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)、監視カメラやドライブレコーダーの画像、インターネットの閲覧履歴、GPS (人工衛星を利用した位置情報計測システム)、携帯電話の位置情報、買い物履歴や電車の移動履歴等のデータを保有する企業に対する捜査事項照会など、得られる情報の種類は増える一方だ。

 被疑者のスマートフォンやパソコンを押収してデータを抜き取り、メールなどの履歴、写真、インターネット閲覧履歴等を捜査資料とすることは、すでに当たり前のように行われているのだ。

 もっとも、2017/03/15、最高裁大法廷判決で、捜査対象車両に車両使用者らの承諾無く密かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索して把握することは、令状がなければ出来無い強制捜査に当たると判断されたから、今後、警察が令状無く秘密裡にGPS端末を捜査に使用することは原則として出来無いだろう。

 いまや犯罪捜査は、聞き込みでは無く、犯罪発生時の現場付近の監視カメラ映像の収集から始まる。街頭に設置された監視カメラは、警察が管理するカメラで無くとも、カメラの所有者ないし管理者から任意に(必要があれば捜査事項照会書を発出して)画像提供を受けることが出来る。提供を受けた画像は、技術的に拡大し鮮明化させることが出来るほか、顔認証技術による識別も可能だ。

 報道によれば、2017年10月に男女9人が相次いで殺害され、遺体が神奈川県座間市内のアパートの一室に遺棄された事件の捜査でも、被害者女性と男が駅を歩く姿等が映ったカメラ画像を収集して顔認証で分析し照合した結果、その男が逮捕歴のある人物だとわかり、容疑者特定に至ったという。いったん被疑者として逮捕されると、被疑者写真の管理及び運用に関する規則に基づき、警察が被疑者写真記録を作成し、その記録は基本的に本人が死亡するまで保管され続けるから、顔認証で照合して人物特定できた、ということだ。

 このような記事が出ると、監視カメラをもっと街頭に設置したほうがよいとか、顔認証技術を積極的に使うべきだと考える市民が増えることになるだろう。しかし、監視カメラに映る人物の顔と被疑者写真とを顔認証で照合させなければ本当に容疑者の特定ができなかったのか、この事件では被害者とのツイッター上のやりとりから容疑者を特定することも十分可能だったのではないか、監視カメラや顔認証が役立つ事を警察がアピールするために記者に書かせたのではないか、と批判的に記事を読むことを我々は、忘れてはならない。

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