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2019年7月 6日 (土)

公安警察――――日本型監視社会 ①

出口かおり(東京弁護士会人権擁護委会員)さんの小論を載せる。コピー・ペー:

 「日本型監視社会」の特徴は、市民活動の監視を含む情報収集活動を警察が行っていることだ。日本共産党ををはじめ、右翼団体や極左集団、さらに労働組合や市民団体等の大衆団体の情報収集活動も、警察は日常的に行っている。

 このような情報収集を行う根拠として、警察は、警察法2条1項が「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕」と並んで「公共の安全と秩序の維持」をも警察の責務としているを挙げる。これに対して、警察法は、警察機能を担う組織の枠組みを規定した組織法に過ぎず、業務執行に際して具体的にいかなる権限を有するかを定めたものではないという批判も行なわれている。

 いずれにせよ、日本における情報収集・分析活動等のインテリジェンス活動の主要な部分を警察が担っていることは事実だ。(「インテリジェンス」の定義付は一様ではないが、本稿では、治安維持と国家安全保障上の問題について、政策立案者に提供すべく行われる情報収集・分析活動を指すものとして論じる。)

 主要先進国では、インテリジェンス機関と犯罪捜査機関の分離がむしろ原則と考えられているなか、この両方を警察が担っている点が日本警察の特徴だ。

 

<1> 建前は自治体警察だが事実上は国家警察

 

 警察は、法律上は自治体警察という建前を採っているが、各自治体警察の幹部の多くは警察庁から派遣され、かつ、階級制に基づく上意下達の組織性を有することから、実際は極めて中央集権性の強い組織運営になっており、この点で、国家警察に近い状態となっている。

 しかも、警察は全国規模の人的組織を有し、任意捜査や強制捜査などの捜査権を有する点で、他の行政機関とは比べものにならない組織力と情報収集能力を持っている。各都道府県警察が収集した情報が、犯罪捜査だけでなく、「行政機関同士の適切な相互協力等の一環」として、警察庁から内閣情報調査室に、ひいては政権中枢に渡っていることは間違いないだろう。警察が日本のインテリジェンス・コミュニティの主要組織として位置づけられるのも、情報収集活動とそれで得た情報共有のあり方についてみる限り、国家警察と呼ぶにふさわしい状態になっているからだ。

 しかも、バブル崩壊後、国家公務員や地方公務員全体の定員が減らされている中で、警察官の定員だけは増え続けており、警察の存在はますます大きくなっている。犯罪認知件数が増えているわけではない。むしろ2004年以降、犯罪認知件数は減り続けており、治安の悪化を裏付ける客観的なデータはない。

 政府は、2020年東京オリンピック開催を見据えて「世界一安全な国、日本」を実現することを目指した各種犯罪対策に力を入れると宣言し、「テロ防止」や「安心・安全」を求める市民はそれを好意的に受け止めているようにさえ見える。このことが警察官の増員を後押ししている。

 しかし、テロ防止も安全・安心も、すでに起こった犯罪の摘発ではなく、まだ起こっていない、あるいは起きるかどうかもわからない犯罪の抑止を意味する。それは、日常的な警察による市民生活の監視に繋がる危険を孕んでいる。

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