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2019年7月30日 (火)

感染症と人間(4)―②

続き:

 

ポスト抗生物質時代 (2)

 例えば、糖尿病。

 2010年時点で、世界中には、約2億人の糖尿病患者がいる。アメリカに4000万人。イギリスに2000万人。患者数は各地で急増しており、2030年にはこの数は倍増し、世界全体で4億人余りが糖尿病と診断される可能性があるという。成人の1/10 が糖尿病と診断される時代がすぐそこまできている。患者数の増加が最も顕著な地域は、アジアやアフリカといった開発途上地域である。

 我が国でも患者数は、過去50年間に3万人~700万人に増加した。増加率は200倍を超える。境界型糖尿病(糖尿病予備軍)まで入れると、その数は2000万人に及ぶ。

 例えば、アレルギー。

 生後2か月の赤子の顔や頭に湿疹が現れる。赤子は、強いかゆみのために、そこをかき、夜泣きをする。このような症状が数か月にわたって続く。現在だと、小児科医はまず食物アレルギーを疑う。東京都福祉保健局がまとめた「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」によれば、1999年の食物アレルギーの確定診断は、3歳児で7.1%だった。その割合は、2009年までの10年間に14.4%と倍増した。

 疾病増加の理由は、病気そのものが変化したわけでも、社会的認知度が向上したわけでも、突然変異が広がったわけでもない。とすれば、わたしたちのなかの何かが変わった可能性が高い。環境要因と環境要因が引き起こすわたしたち身体内の変化が原因として疑われても不思議はない。というより、むしろそうした変化が、わたしたちの身体内を含む周囲で起こった、あるいは今起こりつつあると考える方が妥当であろう。

 そして、これらの「現代の疾病」の背後にあると、多くの研究者が考えはじめているものが、抗生物質が引き起こすわたしたちの体内に共生する細菌叢の撹乱であるとすればどうだろう。

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