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2019年7月21日 (日)

Science 免疫チェックポイント阻害剤 オプジーボ開発の出発点 ①

浅野正岳(日本大学歯学部病理学講座教授)さんは、京都大学の本庶佑名誉教授が、「新規がん治療の発展に打開の道を開いた」との理由から2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞された。筆者(浅野)は、28年前に本庶教授の研究室に在籍し、受賞の起始点となった Programmed Cell Death- 1 (PD- 1)の発見を目の当たりにした。

基礎研究が長い年月を経て人類に貢献することのすばらしさと生涯忘れ得ぬこの当時のすばらしき研究現場について筆者(浅野)は、お話しさせていただきたい。   コピー・ペー:

 

はじめに

 

 2018年、京都大学の本庶佑名誉教授が「免疫システムがもつがんを攻撃する能力を発揮させるという、新しいがん治療の発展に打開の道をもたらした」という理由からノーベル生理学・医学賞を受賞された。これは現在、保険での使用が許可されている新規がん治療薬「オプジーボ」の開発にまつわるものであり、人間に本来備わっている免疫システムに依拠した、これまでに全く知られていなかった方法に基づく治療薬である。

 いわゆる抗体製剤としてのオプジーボの開発は、本庶研究室(本庶研)で今をさかのぼること28年前にクローニングされた分子 Programmed Cell Death- 1 (PD- 1) の発見に端を発している。

 ノーベル賞受賞の起始点となった PD- 1 の発見を、本庶研の一員として目の当たりにした筆者(浅野)が、今なお忘れ得ないすばらしい本庶研での生活と研究者の熱き生きざまに思いをはせながら、当時の研究の現場についてお話しさせていただきたい。

 

1. Background

 

 筆者(浅野)は1991年から2年半の間、京都大学医学部医科学教室に国内留学させていただいた。これは当時、日本大学歯学部病理学教室の主任教授の茂呂周先生に、「京都大学に行ってトランスジェニックマウスの作り方を習ってこい」といわれたことがきっかけであった。茂呂先生は、米国アラバマ大学のMesteckey 教授のもとへ留学して以来、腸管をはじめとする粘膜免疫の研究を続けておられた。この頃は、分子生物学的手法、特に polymerase chain reaction (PCR) という方法が日本国内で隆盛を迎えていた時代であり、同時に遺伝子工学を用いてある特定の遺伝子を過剰に発現する動物(トランスジェニックマウス)の作製が可能になった時代であった。この技術を応用して研究をさらに進めたいという目的で、京都大学での研究を命ぜられたのであった。

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