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2019年7月19日 (金)

Clinical オーラルフレイル●口腔機能低下症を理解する ④

続き:

 

3. 口腔機能低下症の検査

 

 口腔機能低下症の診断のためには、7項目の検査を行う。多面的な評価のために、7項目すべて検査が必要である。検査方法が2種類用意されている項目は、いずれかの検査を行えばよい。その結果、7項目中3項目以上で該当(低下値が出ること)した場合に、→口腔機能低下症と診断される。

 

1) 口腔衛生状態不良 (口腔不潔)

概 要 : 高齢者の口腔内で微生物が異常に増加した状態で、誤嚥性肺炎、術後肺炎、術後感染、口腔内感染症等を引き起こす可能性がある状態。

検査法 : 舌苔付着程度を評価する方法(Tongue Coating Index : TCI 法)による視診での舌苔付着度を用いて検査をする。TCI 法による舌苔付着度は、舌背部を9分割して、それぞれのエリアを舌苔スコアで評価する。舌苔付着度(TCI)が50%以上の場合、口腔衛生状態不良(口腔不潔)と判定。

 

2) 口腔乾燥

概 要 : 口腔内の異常な乾燥状態あるいは乾燥感を伴った自覚症状を示す状態。

検査法 : 口腔水分計による計測または唾液分泌量の計測で検査をする。口腔水分計による計測は、口腔水分計ムーカス(ライフ)を用いて、舌尖から10mmの舌背部の粘膜の水分量を計測。その計測値が27.0未満で口腔乾燥と判定。

 唾液分泌量の計測は、サクソンテストで行う。乾燥した2gのガーゼを2分間一定の速度で咬み、ガーゼに吸収される唾液の重量を計測。唾液量が2.0g/2分未満で口腔乾燥と判定する。

 

3) 咬合力低下

 概 要 : 天然歯あるいは義歯装着時の咬合力が低下した状態。

 検査法 : 咬合力測定または残存歯数で評価する。咬合力測定は、感圧フィルムのデンタルプレスケール(G.C)またはデンタルプレスケールⅡ(G.C)と、分析機器のバイトフォースアナライザー(G.C) を用いて計測した全歯列咬合力を用いる。全歯列咬合力がデンタルプレスケールでは200N未満、デンタルプレスケールⅡでは500N未満の場合に咬合力低下と判定。日常生活で義歯を使用している場合は、義歯を装着した状態で測定。なお、感圧フィルムの厚みや感度に依存するため、他のシステムや個歯咬合力の測定値との比較は出来ない。

 残存歯数を用いる方法は、動揺度3の歯、残根状態の歯、ブリッジのポンティック、インプラント上部構造を除く残存歯数を測定する。残存歯数が20本未満の場合は咬合力低下と判定する。これは、残存歯数と咬合力に相関関係があることが知られているためである。

 

4) 舌口唇運動機能低下

 概 要 : 全身疾患や加齢変化によって、脳・神経の機能低下や口腔周囲筋の機能低下が生じた結果、舌や口唇の運動速度や巧緻性が低下した状態で、摂食行動、栄養、生活機能、QOL などに影響を及ぼす可能性がある状態。

 検査法 : 舌口唇運動機能の評価は、オーラルディアドコキネシス(単音節の発音速度)の計測で検査する。オーラルディアドコキネシスの計測には、ペン打ち法、電卓法、自動測定器による方法がある。自動測定器を用いるのが、正確で簡便であり、推奨されている。自動計測器には、健口くんハンディ(竹井機器工業)やスマートフォンのアプリ等がある。日常生活で義歯を使用している場合は、義歯を装着した状態で測定。

 「ハ」、「タ」、「カ」の5秒間での発音回数の計測をそれぞれ行い、いずれかでも6.0回/秒未満の場合に舌口唇運動機能低下と判定。

 

5) 低舌圧

 概 要 : 舌を動かす筋群の機能低下によって、咀嚼、嚥下や発音時に舌と口蓋や食物との間に生じる圧力が低下した状態で、健常な咀嚼や食塊形成に支障が生じて将来的に必要栄養量を摂取できなくなる可能性がある状態のこと。

  検査法 : JMS 舌圧測定器(ジェイ・エム・エス)を用いた最大舌圧の計測により計測。日常生活で義歯をしている場合は、義歯を装着した状態で測定する。最大舌圧が30kPa 未満で低舌圧とする。

 

6) 咀嚼機能低下

 概 要 : 噛めない食品が増加し、食欲低下や摂取食品の多様性が低下した状態で、結果的に低栄養や代謝量低下を引き起こすことが危惧される状態。

  検査法 : 評価は咀嚼能率検査を用いる。その方法には2種類あり、いずれも専用のグミゼリーを咀嚼させて、その粉砕度で評価する。グルコース溶出量による咀嚼能率検査は、グルコセンサー GS-Ⅱ(G.C)を用いる。

 専用のグミゼリーを20秒間咀嚼させ、10mL の水を含嗽し吐出させる。吐出水中に溶出したグルコース濃度を計測して、咀嚼能率とする。溶出グルコース濃度が100mg/dL 未満で咀嚼能率低下と判定。

 咀嚼能率スコア法による咀嚼能率検査は、咀嚼能率測定用グミゼリー( UHA 味覚糖)を30回咀嚼させ、吐出させる。それをスコア表と見比べて、スコアを決定。

 スコアが2以下の場合に咀嚼機能低下とする。

 

7) 嚥下機能低下

 概 要 : 加齢による摂食縁が機能の低下が始まり、明らかな摂食嚥下障害を呈する前段階での機能不全を有する状態。

  検査法 : 調査紙法で検査を行う。検査法は2種類ある。EAT-10 を用いた場合は、合計点数が3 点以上の場合を嚥下機能低下と判定。聖隷式嚥下質問用紙を用いた場合は、A が1つ以上の場合を嚥下機能低下と判定する。

 なお、嚥下機能低下が認められた場合には、嚥下障害の疑いがあるため、嚥下障害のスクリーニング検査を行うか専門医師への紹介等の対応が必要である。

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