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2019年8月18日 (日)

EU とポピュリズムのせめぎあい ②

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 今年5月23~26日に実施された欧州議会選挙は、28加盟国の4億2600万人を有権者とし、インド(有権者約9億人)に次ぐ世界第二の規模の民主的選挙であった。投票率は先回2014年選挙の際の約43%~51%に上昇した。この選挙において有権者の関心が高い政策の上位には、景気・雇用、移民問題、気候変動・環境などが含まれていた。

 ポピュリスト政党は、有権者の動向を見極めて EU や単一通貨ユーロからの離脱という政策を取り下げ、むしろ自分たちにとって都合の良いように EU を内部から変革することを主張するようになった。それは、EU の利用価値を暗黙のうちに認めることであり、それまで EU にそのものに対する「野党」として反 EU を主張してきた欧州ポピュリズムの変質を意味するものとも言える。

 たとえば、イタリアのポピュリスト政党「同盟」の党首であるサルビーニ内相は、選挙前に「コモンセンス欧州」を唱え、「雇用、家族、安全、環境保護を中心に取り戻さなければならない」と訴えた。これは、EU からの「主権」を奪還して移民を制限し、国家のアイデンティティを守ることを目標とする。しかしそれは、コスモポリタン的な EU の超国家性に歯止めをかけつつも、ある程度の欧州統合を前提としており、EU という枠組みを必要とする。

 しかし、その点は曖昧なままとされ、現状ではポピュリスト政党は批判勢力にとどまっている。

 それにもかかわらず、今回の選挙ではポピュリスト政党が反移民政策を前面に押し出して躍進すると予想されていた。ところがいざ蓋を開けてみると、それらの政党が中心となって欧州議会で結成する3つの会派の獲得議席合計は155~179への増加にとどまった。その中でイタリアの「同盟」やフランスのルペン党首が率いる「国民連合」を中心に、「ドイツのための選択肢」(AfD)などが加わって新たに結成した会派である「アイデンティティと民主主義」が73議席に達し、旧会派のときの36議席から倍増している。

 

 

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