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2019年8月16日 (金)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ⑤

続き:

 

5 . 全部床義歯における顎間関係について

 

 ある患者のゴシックアーチ描記図とその旧義歯はレトロモラーパッドに届いておらず、ホームリライナーを使用していた。安定しない義歯を無理矢理使っていたため習慣性の顎位が不安定になってしまった義歯の例を挙げて解説。(ここは略)。

 

6 . 下顎義歯の軟質裏装の要点

 

 近年、シリコーン系及びアクリル系軟質裏装材に由るリライン(間接法)が保険収載された。一見、福音のように見えるが、実は結構難しい。以下のポイントに注意していただきたい。

 

1) 軟質裏装時の理想的な印象採得法

 今度の保険収載されたアクリル系軟質裏装材は、ある程度の粘膜面調整は可能であるが、シリコーン系軟質裏装材はバーの刃をはじいてしまって内面調整がほとんど不可能である。またシリコーン系適合試験材も付着するため使用することができない。従って、裏装後の調整はできるだけ軽微で済むように、ダイナミック印象にて内面と辺縁を確定してからリラインすべきである。

 

2) 義歯床と軟質裏装材の接着

 シリコーン系軟質裏装材は常温で硬化するため、つい直接法で使用したくなる。しかし床用レジンとシリコーンの接着は極めて脆弱である。また口臭原因物質であるメチルメルカプタンは重合阻害の要因だ。さらにリラインの破綻は、薄い辺縁部分の接着がはがれることによって開始される。

従って、辺縁のシリコーンとレジンの接着部分は接合の形態に注意し、シリコーンの薄い部分を作らないような、スペーサーを適切に設定できる間接法でのリラインが必須。

 

7. 基本は忠実に

 

 どんな義歯でも軟質裏装材でリラインすればよくなるわけではない。義歯形態の基本を順守し咬合をチェックしたうえで、それでも咀嚼時の疼痛を妨げない貧弱な顎堤に対するオプションとして捉えていただきたいと筆者(水口)は思う。

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