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2019年8月19日 (月)

EUとポピュリズムのせめぎあい ③

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 しかし、ポーランド与党で26議席の「法と正義」やハンガリーのオルバン首相の与党で13議席の「フィデス・ハンガリー市民連盟」(フィデス)、また、イギリスのファラージ氏が率いる29議席のブレグジット党は、「アイデンティティと民主主義」会派への合流を見送ったため、ポピュリスト政党の大同団結は成らなかった。

 他方、親 EU 派の各会派の獲得議席合計は522~518に減少したものの、全体として総議席751の過半数を大きく上回る。しかし、中道右派で第1党の「欧州人民党」(EPP)と、中道左派で第2党の「欧州社会・進歩連盟」(S&D)の獲得議席がそれぞれ182 と153にとどまり、合計議席が初めて過半数を下回った。これに対し、フランスの「共和国前進」が参加したリベラル派の新会派「欧州再興」が旧会派のときの69議席から108議席に増加して第3党となり、また、環境保護派の「緑の党・欧州自由連合」が議席を52~75に増やして第4党に位置している。今後、欧州議会は EPP と S&D を中心としつつも、親 EU 四会派が政策ごとに連携し、ときにポピュリスト政党も巻き込みながら、多数派を形成して運営されることになる。

 ポピュリスト政党は大同団結に失敗したが、それでも「アイデンティティと民主主義」会派は他のポピュリスト政党と政策ごとに連合を組むことにより、親 EU 派政党中心の議会運営に挑戦することを目指している。しかし、それを妨げる要因がいくつか存在する。

 第1に EU 予算のうえで純貢献国の西欧諸国と純受益国の東欧諸国の間で財政移転をめぐる対立がある。

 第2に財政規律を重視するドイツは AfD を含めて、イタリアの財政赤字や公的債務に批判的である。

 第3にロシア関係で亀裂の恐れがある。仏「国民連合」、伊「同盟」、オーストリア自由党、ハンガリー与党フィデスなどはロシアに友好的であり、クリミア併合を含むウクライナ情勢をめぐる対ロ経済制裁の継続に反対しているが、ポーランドや北欧諸国はロシアを安全保障上の脅威と見なしている。

 第4に難民問題をめぐって負担の平等化を求めるイタリアと、それを拒否するハンガリーやポーランドなどとの間で不協和音が生じる可能性がある。

 

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