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2019年8月15日 (木)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ④

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5) 顎舌骨筋部

 この部分は、顎舌骨筋の緊張により義歯床縁は開き、内側に凸の外形となる。またこの部は積極的な辺縁封鎖を考える必要はなく、顎舌骨筋の緊張を避ければよい。さらに後顎舌骨筋窩の部分は臼後隆起の下に入り、顎舌骨筋線部と合せていわゆる S カーブの一部となる。従って、顎舌骨筋部~後顎舌骨筋窩の床縁は徐々に薄くし、研磨面形態は舌の側縁部を受け入れるようにわずかに凹面にする。

 丁度、開いた顎舌骨筋部の床縁の上に舌が乗るような形に仕上げることを心がける。また、舌側後縁は薄く仕上げ、舌側縁部への異物感を最小にする。

 この部分の深さは、顎舌骨筋に沿って延長させるとかなり伸びる場合がある。最初にこの長さを決めようとするとなかなか難しい。「下顎の床縁の長さはほぼ下顎骨下縁と平行に走る」ので舌下腺部の辺縁の位置からそのまま後ろに伸ばせばよい。

 

6) 後顎舌骨筋カーテン

 臼後隆起直下のアンダーカット部を後顎舌骨筋窩と言い、その部から舌根部にかけての粘膜を後顎舌骨筋カーテンいう。下顎義歯の後縁であり、舌の前突とともに前上方に動き、この部の義歯床が長いと義歯が持ち上がる。しかしながら、顎堤頂がなくなるほどスロープ状に臼歯部顎堤が吸収している場合には、この部分を適切な範囲で延長することによって安定が向上することがあるため、単に短くすればよいという認識ではなく、慎重に義歯調整してほしい。

 痩せた男性の高齢患者で、開口した時に咽頭の奥まで見えてしまうような人がいるが、これは咽頭周囲の筋力が減少し舌骨が下がり、まさにこの部のサルコペニアともいえるような状況である。通常この下顎義歯の後縁部は、臼後隆起、舌、頬粘膜で封鎖されているのだが、このような場合は封鎖することができない。

 このとき、後顎舌骨筋窩の部分が粘膜から離れていると吸着が得られない。アンダーカットも大きい部位でリリーフを大きくしがちだが、注意してほしい。

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