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2019年8月10日 (土)

「トランプ・ドクトリン」はあるのか ④

続き:

 

 このタカ派とそれを抑えるトランプという構図には、外交的な効用よりも重要な内政的効用がある。よく言われるように、オバマ政権とトランプ政権は9・11テロ後にブッシュ政権が始めたアフガン・イラク戦争の長期化への国民の徒労感や忌避感を背景に生まれたところが共通しておる。

 ともに米兵の帰還と対外軍事関与への慎重な姿勢を訴えて政権を得た。ただ、反戦・平和路線をストレートに出して軍事関与への慎重な姿勢を支持者に示していくことができたリベラル派のオバマに対し、一応保守派を標榜して白人労働者階級などを動員したトランプには、対外的にタカ派強硬路線を示しながら、対外軍事関与を避けるという綱渡りが要求される。

 トランプ支持層はその両方を求める矛盾した存在なのである。

 現在のトランプに対する強硬派(ボルトン、ポンペオ)という構図は昨年春に形ができたが、完成したのはマティス国防長官辞任を経てからだ。トランプ政権発足後、バノン首席戦略官が牛耳っていた短期間はポピュリスト型の政権で過激な政策が矢継ぎ早に打ち出されたが、バノン辞任後は共和党主流に近い現実主義的な閣僚(クラス)たちが政権を動かした。

 「大人たち」と呼ばれたマティスやマクマスター前大統領補佐官ら元軍人組などがそれである。しかし、トランプ政権2年目に入り、トランプは彼らを次々と切り、捨て、「トランプ一強」的な態勢を作った。これは明らかに来年の再選をにらんだ選挙モード、―ポピュリスト型の配置である。

 トランプとボルトンは対立するが、それは対外的な「良い警官・悪い警官」という戦術というよりも、国内のトランプ支持層に対しタカ派ぶりを誇示しながら、戦争を避け、彼らの矛盾した期待に応える仕組だと言って良い。

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