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2019年9月17日 (火)

Science デンチャープラーク微生物叢の群衆解析と義歯ケア ③

続き:

 

4. 次世代シーケンサー (NGS) の登場と微生物群衆解析 (メタ16S解析) の進展

 

 複数の生物種が混合した試料中のゲノム全体を対象に丸ごとシーケンス解析することを「メタゲノム解析」という。これに対し細菌の「群衆解析」は、細菌集団を構成する菌種と構成比を知ることが目的で、菌種特異的配列を含む短いDNAのみがシーケンス対象となり、16S rDNA の部分配列に限定した解析をメタ16S 解析という。従来は大量に得られた 16S rDNAクローンの塩基配列をいかに効率よく解読するかが課題であったが、これを一気に解決したのがNGS の開発。

 本稿では、現在メタ16S 解析に標準的に用いられているイルミナ社のMiSeq System を例に挙げ、その解析の流れを概説する(図 略)。

 まず細菌集団が含まれる試料から染色体DNA を抽出し、ユニバーサルプライマーを使って 16S rD NAのV3-V4 領域を PCR で一括増幅する。さらにもう一度 PCR 行う過程で試料ごとに識別配列を付加する。こうして調整した16S V3- V4のPCR アンプリコン集団(ライブラリー)をスライドグラス大の小さなチップ(フローセル)上にランダムに固定し、それらを鋳型とする相補鎖を一斉に1塩基ずつ合成する。

 塩基配列の解読は、合成過程であらたに取り込まれた塩基が放つ点状の蛍光を全クローンまとめて撮影し、各点の位置情報と色情報をクローンごとの配列情報に変換してデーターする。これを300回繰り返すと1クローンあたり300塩基を解読したことになる。

 MiSeq の場合、1枚のチップ上に4千万クローン以上の PDR アンプリコンを結合して同時解析できるので、従来のサンガー型シーケンサーの実に数千万台分もの圧倒的な並列処理能力を有する。

 NGS で取得した大量の配列データの系統分類と構成比の算出作業は解析ソフトQIIME を使う。まず各配列データを比較し、類似度97%以上の配列集団を1つのグループにまとめ (operational taxonomic unit : OTU)、さらにその中での代表配列を1つ決めて、公共の16S rDNA データベースに登録された既知の配列データと相同性検索し菌種を決定。

 系統分類の指標は大分類から小分類に向かって門→網→目→科→属→種となっているが、各分類レベルにおける帰属はOTU代表配列とリファレンス配列間の類似度で便宜的に決める。例えば任意の既知配列との類似度96%以上あれば種、95%以上なら属、90%以上なら門のレベルで一致、というふうに各分類レベルに帰属させている。

 データベースに登録されていない配列は同定できないことになるが、世界中で行われている様々な微生物のゲノム解読プロジェクトの成果は公共データベースに蓄積され続けており、時間が経てばヒットする可能性がある。また既知配列との類似度が90%未満のものは新種の可能性もある。

 

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