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2019年9月 7日 (土)

感染症と人間(5)―①

「人間と科学」 第303回 山本太郎(長崎大学熱帯医学研究所環境医学部門国際保健学分野教授)さんの研究文を述べる。 コピーペー:

 

 約138億年前に宇宙は誕生した。超高温、超高密度の世界、ビッグバンである。その後宇宙は、超銀河団、銀河団、銀河、恒星の形成と、超新星爆発、その残骸の飛散と集積を繰り返す。その過程を通して、約46億年前に、わたしたちの暮らす地球が誕生した。誕生当初は溶解した岩石からなる、生命の存在しない惑星だった。

 40億年前、その地球に原始生命が誕生した。原始生命は低分子有機物が重合しただけのものだった。続いて、原始生命から真正細菌と古細菌が誕生する。38億年前のことである。そして10億年前に初めて地球に多細胞生物が誕生した。多くの研究者の共通の認識である。そうでないという研究者もいる。

 最初の生命は宇宙からやってきたという。パンスペルミア仮説と呼ばれる。いずれが正しいか、厳密な意味で証明はされていない。しかし、その後の生命進化の過程を辿れば、おそらくは、原始生命は地球で誕生したというのが正しい。

 誕生した生命は、競争と協調を通して進化し、わたしたちヒトのような大型多細胞生物を生み出していった。としても、わたしたちをとりまく世界が、依然として微生物で満ち溢れていることも事実である。

 逆説的かもしれないが、現在の理解で言えば、わたしたちの周囲にある生物のうち微生物でないものは、逆に大型の多細胞生物だけということになる。大型多細胞生物は動物界と植物界、そしてストラメノパイル(鞭毛に中空の小毛を有する真核細胞の1群)にしか見つかっていない。

 人類が微生物の存在を発見して以降、450年が経った。今、わたしたちは、わたしたち自身が微生物に満ち溢れた惑星の片隅に暮らす住人だということを、ようやく認識し始めたのである。

 

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