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2019年9月14日 (土)

<内の目外の目> 第201回 「口腔がん撲滅委員会」って何? ②

続き:

 

◎本委員会の発足

 日本全国の歯科医院にて口腔がん早期発見の仕組を普及させ、全国各地域における歯科医院と病院連携実現を果たすために産学連携のプロジェクトを考えた。企業の力、マーケティング力なくしては成就できない活動である。口腔がんの現状を憂える企業人と出会うことができた。今では良き理解者を超え、活動の参謀本部長であり、パートナーとなっている。

 歯科医療の価値を欧米並みに向上させることを目的として、2014年秋に「口腔がん撲滅委員会」の活動を始めた。2017年2月には「一般社団法人口腔がん撲滅委員会」として設立登記した。最初の行動は、約7万軒ある開業歯科医院に口腔がん検診・口腔健診を広く周知させることを大義とした全国行脚である。

 第1弾 1北海道(札幌)2017/05/07~8 新潟(新潟)2017/08/06 (北日本)

 第2弾 1熊本(熊本)2017/11/12~12広島(広島)2018/04/22 (西日本)

 第3弾 1長野(松本)2018/06/10~8 山梨(甲府)2018/09/30 (中日本)

 第4弾 1兵庫(神戸)2018/11/11~10 島根(松江)2019/03/24 (関西・四国・山陰) 地域の口腔がんを考えるシンポジウムを開催した。

2017年5~8月に計8回 第1弾の北日本地域では、定員が630人に対して737人の歯科医師や歯科衛生士がご参加いただく盛況ぶりであった。その後、同年11月から2018年4月に第2弾(西日本11県12回)を行い、定員1000人に対して1374人の参加、2018年6~9月第3弾中日本(8県8回)は定員710人に参加者811人であった。2018年11月からは第4弾として関西・四国・山陰(12県13回)を始め、今も巡回を続けている。大阪府では2回行い、総参加者は550人にも達した。そして最終章となる第5弾には関東・福井地区である。これは、2019年秋から行えるよう企画している。

 

◎本委員会の目標

 口腔がん撲滅委員会ではいくつかのポリシーを掲げている。まずは、口腔がんの早期発見(ステージⅠ、Ⅱの早期がん)、あるいは歯列不正などから、粘膜上皮異形成の段階(前がん状態)で発見するためには、定期的に通っている地域の歯科医院がキーになる。

 通院時に粘膜などをチェックすれば早期発見につながり、舌や顎を大きく切除せずに治療できる可能性が出てくる。つまり歯科医師が検診を習慣化してもらうことが重要で、シンポジウムの目的はここにある。さらに開業歯科医院と基幹病院、との連携が構築できるようハードとソフトの提供も行っている。推奨しているのが、開業歯科医院で早期判断ができる仕組みとして開発したナビシステム『口腔がん検診ナビシステム(現在は、口腔がん検診オーラルナビシステム)』である。今は東京歯科大学を軸に全国展開しているが、今後は地域の基幹病院、歯科大学などと開業医のネットワークに発展させていきたい。

 例えば青森県であれば、弘前大学と近隣の歯科医院が連携し、コメントできるという位置づけである。開業医は普段から口腔がんを診ているわけではなく、判断に迷うこともあると思う。専門医であれば症例がたくさんあり実績も豊富。両者がつながることで、早期発見から判断の流れが確立できると考えている。

 

◎産学連携の必要性

 患者を救うには、いろいろなアプローチが必要であろう。ITに精通した企業人が牽引すると大きな力になり、実践のパートナーとしても心強い限りである。医科には事務局長がいて事務機能が任されるが、歯科の開業だと医科とは規模も違い事務機能を選任することはできない。口腔がん撲滅委員会の活動を通じて、情報提供と情報管理をサポートし歯科医師の地位を高めるというのも本委員会の目的と考えている。

 歯科医院は全国に7万軒程あり、約1億2千万人の国民の口腔管理を行っている。「口腔がんのチェックに割く労力はない」という意見もあろうが、口腔チェックが診療につながり、ひいては患者の幸せにつながるということを訴えていきたい。「口腔がん難民」を生まないためにも歯科医師の一助となればと考える。国はエビデンスのない検診は成り立たないと提言している。一方、早期発見が早期治療につながり、治癒率向上に貢献することが検診の意義でもある。口腔がん検診はまさに試され、有効性が議論される時であり、ぜひ、先生方のお力添えをお願いしたい。

 

 

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