« <内の目外の目> 第201回 「口腔がん撲滅委員会」って何? ② | トップページ | Science デンチャープラーク微生物叢の群衆解析と義歯ケアー ② »

2019年9月15日 (日)

Science デンチャープラーク微生物叢の群衆解析と義歯ケア ①

 西川 清(愛知学院大学歯学部微生物学講座講師)さんと長谷川義明(愛知学院大学歯学部微生物学講座教授)さんの共同研究文を記載。 コピー・ペー:

 

1. デンチャープラークの重要性

 

 歯面に形成されるデンタルプラークが「食べかす」ではなく、口腔常在細菌とそれらが菌体外に分泌する多糖類からなる「バイオフィルム」であることはよく知られている。歯磨き直後の歯面には唾液由来の糖タンパク質が付着し、ペリクルと呼ぶ薄膜を形成する。

 これに初期定着細菌のレンサ球菌群が付着し、さらにその上に積み重なるように様々な微生物が付着・定着・増殖してプラークが成熟していく。使用中の義歯の表面にもバイオフィルムが形成され、これをデンチャープラークと呼ぶ。その形成メカニズムはデンチャープラークと同様、義歯表面にペリクル層が形成されることから始まる。

 デンチャープラークの特徴は、真菌カンジダ属 (Candida) の検出率が高いことである。義歯から採取したプラークにグラム染色を施し光学顕微鏡で観察すると、様々な種類の細菌に混じって酵母形と菌糸形の混在した Candida を観察できることが多い。

 デンチャープラークは微生物とその代謝産物の塊なので、清掃を怠った義歯を使用し続けると、口臭や義歯床下粘膜の炎症(義歯性口内炎)、残存歯のう蝕、歯周炎等の原因になることは従来から指摘されてきた。

 しかし近年は、デンチャープラークが誤嚥性肺炎を起こす口腔・咽頭常在レンサ球菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に代表される日和見感染菌の供給源になり得るとの調査結果が示され、全身疾患を起こすリスク要因としても注目されている。高齢化が進むにつれ義歯の装着率も高まるが、平均寿命と健康寿命との間に10年前後のギャップがある我が国において、自分自身で歯磨きや義歯の清掃・管理ができなくなった人々の口腔ケア・義歯ケアをどうするかは大きな課題である。 

« <内の目外の目> 第201回 「口腔がん撲滅委員会」って何? ② | トップページ | Science デンチャープラーク微生物叢の群衆解析と義歯ケアー ② »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事