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2019年10月24日 (木)

「小型モジュール炉」 ②

続き:

 

 典型的なのが水素と燃料電池である。2000年前後にもいまと同じような水素ブームがあった。1990年代に内外の自動車メーカーが燃料電池自動車(FCV)の試作車を発表、トヨタやホンダが試験的にリース販売をはじめるなど、すぐにでも FCV の時代がやってきそうなムードが醸成された。

 その後家庭用燃料電池も販売されはじめた。2001年に経産省の燃料電池戦略研究会が発表した FCV の導入目標は、2010年度5万台、2020年度500万台というものだ。野心的な目標とも言えるが、根拠が伴わなければ荒唐無稽でしかない。実際、2010年に公道を走っている FCV はほぼゼロだった。

 ようやく FCV の市販車トヨタ・ミライがお目見えしたのは、2014年11月。その半年前に閣議決定された「第四次エネルギー基本計画」には、予定されていたミライの発売をふまえて「”水素社会”の実現に向けた取り組みの加速」という一項目が設けられていた。

 この年の6月に経産省の水素・燃料電池戦略協議会が策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」には、家庭用燃料電池システムの普及目標台数として、2020年に140万台、2030年に530万台という数字が示されている。

 さらに、トヨタ・ミライの発売を経た同ロードマップの2016年改訂版では、 FCV の普及目標台数を2020年までに4万台程度、2025年までに20万台程度、2030年までに80万台程度とした。

 実際には、2019年3月までに家庭用燃料電池システムの累計販売台数は約30万台(一般財団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センター調べ)にとどまり、 FCV にいたっては、3000台程度に低迷している。どちらもあと1年での目標達成は不可能といっていいだろう。

 この間、世界の次世代自動車の趨勢は完全に電気自動車( EV )へと移り、「水素社会」を牽引してきたトヨタすら、EV の発売を計画せざるをえなくなった。トヨタなどが開発を進める全固体電池などの高性能新型バッテリーが実用化されれば、現在の EV に対する FCV の優位性はほぼ失われる。

 

 

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