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2019年10月14日 (月)

原発の本当のコスト ④

続き:

 

■競争力を失う原子力発電

 

 ◉原子炉別の検討

 多くの原発で、「2014年モデルプラント」に比べてコストが高い。既存の原発の平均は13.4円/KW時になっている。

 具体的にみてみると、「2014モデルプラント」よりもコストが低いのは、KW時あたり、関西電力高浜1号機の9.7円、2号機の9.6円、大飯4号機の9.9円のみである。これらのコストが安いのには特有の理由あり。まず大飯4号機については、同時期に同じ施設内で建設された大飯3号機との間で建設費に大きな違いがあることが資本費を引き下げる原因になっている。これは、大飯3号機との共有施設を利用するかたちで発電所が建設されたためと考えられる。大飯3、4号機を平均すれば11円/KW時程度。一方高浜1、2号機の資本費用が低いのは、高浜1、2号機の建設されたのが1970年代初期であったためである。高浜1、2号機は建設費が極端に低く、蒸気発生器取替費用を含めてもそれぞれ866億円、824億円しかしない。

 そのため平準化発電コストが小さくなっている。この時期のように格安で原発を建設できるようなことは今後ない。同時に、関西電力を含め、電力会社が、減価償却が終わった老朽化原発を、追加的安全対策費を支払ったとしても再稼働しようとする理由がここにある。裏を返せば、原発を廃棄しても資産上の損失はほとんどなかったともいえる。

 これら3つの原発以外に10円台の原発は、日本原電の東海第2と敦賀2号機である。このうち敦賀2号機は、どの程度安全投資がされているか不明であったため、追加的安全投資をゼロにしていることが安価となった原因。同原発は、敷地直下に活断層があることが知られており、適合性審査の申請はされているものの、再稼働の見込みはたっていない。一方、東海第2原発は、地元自治体の合意がとれていないこと、また、運転期間延長の認可が必要なことから、近いうちの再稼働は困難だ。

 

 ◉電力会社別の検討

 次に、その他の原発について電力会社別に概観する。

 まず北海道電力泊原発については、すべて高いコストとなっている。北海道電力エリアの電力需要の規模の小ささと、再エネ供給量の急増からすれば、不安な投資ではなかったかと思われる。

 東北電力の女川2号機も同様。この原発の発電コストが高いのは、女川3号機と共用できるものを別に整備しているから。とはいえ、停止期間が長くなればなるほど発電コストは上昇するから、対策をすればするほどコストが上がるだろう。

 東京電力柏崎刈羽原発もまた経済性観点から再稼働に?がつく。柏崎刈羽原発には6800億円もの費用を投じられている(もしくは投じられる)が、それによって発電コストが上昇している。柏崎刈羽原発については、新潟県が独自に安全性評価を行なっていること、中越沖地震で被災した原発だから、地元合意をとるのは困難だ、だから、再稼働時期がみとおせない。

 東京電力は、福島原発事故を引き起こした原因者そのものであるので、当然ながら、地元から信頼を得ることは不可能だ。経済性の観点からも早期に撤退することが望ましい。

 中部電力の浜岡原発3、4号機もまた経済性が大きく失われつつある。ここでも追加的安全対策費の増大と、停止期間が長くなっていることが維持費の増大をもたらし、経済性を大きく損ねる原因となっている。

 関西電力は、先ほどの三基については例外的に安価なコスト。だが、再稼働を果たした大飯3号機、高浜3、4号機であっても、追加的安全対策費および停止期間の影響で、「2014モデルプラント」よりも発電コストが高い。

 中国電力は、電力会社本体の体力に比して多額の投資を行うなわざるをえなくなっており、その多額の投資が原発の発電コストの増大を招いている。本稿では、島根原発3号機が運転開始をしていないことから、停止期間を運転期間から差し引いておらずモデルプラントと同様、40年間フルに運転するという想定だ。それにもかかわらず、同機の平準化発電コストが高いのは、追加的安全対策費による。

 四国電力伊方3号機についても、中国電力よりもいっそう電力会社の規模に比して過剰な投資が必要となったうえに、追加的安全対策と停止期間・時期による影響でコストが高くなっている。今後、特重施設の設置に費用と停止が必要とみられ、さらに、コストが上がる。

 九州電力原発3号機、4号機、川内1、2号機は、早い時期に再稼働した原発であるが、これらの原発も、平準化発電コストが12~14円台であり、経済性があるとは言えなくなっている。また、これらの原発は特重施設がないため停止する可能性がある。発電所ごとに数百億円の特重施設を設置し、その期間、停止しなくてはならないことから、原子力発電の経済性が大きく悪化する。 

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