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2019年10月21日 (月)

世界で競争力を失う原子力発電 ⑥

続き:

 

 老朽化する先進国の原子力発所

 1950年代に商用の原子力発電が始まって以来、既に60年以上が経過。古くから原子力発電に取り組んできた先進国の状況を見ると、発電設備の老朽化が目立つ。原子炉の数が最多の米国が典型で、平均運転年数は38年に達している。米国では通常40年の運転が認められていて、大半の原子炉が期限を迎えうつある。政府の承認を得れば20年ごとの延長が可能だが、他の発電方法と比べて採算性が厳しくなる中で、運転期間を40年以上に延長する原子炉が数多くの出てくることは考えにくい。

 原子炉の数で第二位のフランスでも平均運転年数が34年に達しているほか、第四位の日本と第五位のロシアは平均で約30年だ。上位の10か国のうち7か国(ほかにカナダ、英国、ウクライナ)で平均運転年数が30年以上になっていて、老朽化に伴う設備の維持・更新の問題が発電事業者に重くのしかかる。運転期間を40年以上に延ばすためには、安全対策などで多額のコストが発生する。インドや韓国でも十数年後には同様の問題に直面することになる。

 現時点で運転可能な世界各国の原子炉がすべて40年で運転を終了した場合、2030年代の始めの時点で残っている原子炉は1/4程度しかない。米国や日本では40年を待たずに運転を終了する原子炉が増えており、縮小のペースはもっと早まる可能性がある。こうした老朽化による発電設備の廃止分を、新設あるいはリプレース(建て替え)でカバーできなければ、原子力発電は確実に衰退していく。

 

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