« 世界で競争力を失う原子力発電 ⑦ | トップページ | 「小型モジュール炉」 ② »

2019年10月23日 (水)

「小型モジュール炉」 ①

小澤祥司(環境ジャーナリスト/科学ライタ-)さんの小論文では言っている。――”過ち繰り返す経産省・原子力産業” コピーペー:「世界 7」より

 

 第二次安倍政権が発足して二年目の2014年4月、「第四次エネルギー基本計画」が閣議決定された。そこには、「原発依存度は可能な限り低減させる」と書かれ、2012年に福島第一原子力発電所事故後に民主党野田政権下で発表された(ただし閣議決定はしなかった)「革新的エネルギー・環境戦略」に記された、「原発に依存しない社会の実現(=2030年代の原発ゼロ)」という方針は反故にされた。

 さらに2015年に閣議決定された「長期エネルギー需要見通し」は、2030年の電源構成に占める原子力発電の割合を20~22%とし、原子力への回帰を鮮明にしたのだ。

 しかし、「見通し」に記せばその通りに進むという簡単な話ではない。各地の原発の再稼動はこれまでなかなか進んでいない。その一方、追加安全対策にコストがかかりすぎるため、老朽原発の廃炉決定が相次いだ。2019年5月現在、日本で稼動している原発は、九州電力の玄海原子力発電所3・4号機、同川内原子力発電所1・2号機、四国電力の伊方発電所3号機、関西電力の高浜発電所3・4号機、大飯発電所3・4号機の合計9基、総出力913万KWにとどまっている。いずれも加圧水型軽水炉で、事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰型の多い東日本の原発については、原子力規制委員会の適合審査が長引いている。

 かたや太陽光発電を中心に、再生可能エネルギーの伸びは著しい。その結果、2017年度の発電電力量に占める再生可能エネルギー(大型水力を含む)の比率は15.4%に達した。それに対して、原子力発電の比率はわずか3%だ。今後も、地元の反対や敷地内の活断層の存在があきらかになるなどで、再稼動に時間がかかったり廃炉を余儀なくされたりする原発も出てきそうだ。建設中・計画中の原発も完成・着工のめどが立たない。ましてや新規立地など、到底不可能と思う。

 頼みはリプレイス(同一敷地内での建て替えや増設)だが、それもハードルは高い。「2030年に20~22%」という発電比率を目標として設定したはいいが、その達成はかなりむずかしいと見る。

 ところが、この国の官僚にとって、いったん掲げた目標を下ろすことは政策の誤謬を認めることになり、客観的に見て多くの人が不可能だと思うような数字であっても、掲げた以上はそれに拘泥する。そしてその数字に基づいてさまざまな政策が立案され、予算が付けられていく。

 しかし実際には近年日本のエネルギー政策目標はことごとくはずされてきたといっていい。エネルギー需要予測はたいてい過大だし、日本が優位に立つ新技術は短期間で普及するし、はっきり言って甘い見通しなのだ。

 

« 世界で競争力を失う原子力発電 ⑦ | トップページ | 「小型モジュール炉」 ② »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事