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2019年10月27日 (日)

「小型モジュール炉」 ⑤

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 この小型モジュール炉は、2019年4月に公表された政府の「パリ協定長期成長戦略案(長期戦略)」にも盛り込まれた。パリ協定は気候変動を抑制するための国際的な枠組みとして2015年に採択された協定で、日本も2016年11月に同協定が発効した直後に批准している。とかく気候変動対策に消極的だと批判を浴びてきた日本が、6月に大阪で開かれるG20会合に合わせて「長期戦略」をアピールするためには、ぎりぎりのタイミングだった。

 「長期戦略」は、2050年までに CO2 などの温室効果ガス排出を80%削減するという目標を掲げ、そのためにエネルギー分野では、①再生エネルギーの主力電源化、②可能な限り原発依存度を低減、③火力発電への依存度引き下げと CO2 回収貯留・利用の推進、④「水素社会」の実現、⑤熱の効率的利用と分散型エネルギーシステムの構築、の五つをめざすべき方向性として掲げる。

 その重点施策として推進すべき「原子力に関する技術の例」に、やはり高速炉、高温ガス炉、溶融塩炉などとともに小型モジュール炉が挙げられている。小型モジュール炉に関して、2018年の「第五次エネルギー基本計画」と「 NICE F u t u r e 」参加、そしてこの「長期戦略」は一連のものなのである。

 「原子力発電は可能な限り少なくする」ものの、気候変動対策として挙げたのは、地球温暖化の主要な原因である CO2 を排出しない「ゼロエミッション電源」として不可欠だという位置づけである。

 2000年代にもこの原発ゼロエミッション理論は広く喧伝された。福島第一原発事によって大量の放射性物質がまき散らされたあとでは虚しく聞こえるが、そのゼロエミッション電源論が新たな衣装をまとって再登場してきたのである。

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