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2019年10月20日 (日)

世界で競争力を失う原子力発電 ⑤

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インドをはじめ日射量が豊富な国々

 インドの状況も中国に近い。2010年以降に3基の原子炉を開始して、合計22基の原子炉が稼働中である。さらに7基の新設計画が進んでいるが、政府が2032年までの長期計画で掲げた目標には遠く及ぼない。2018年の時点で早くも目標を下方修正した。国全体の発電量に占める原子力の比率は3%にとどまり、今後も上昇する見込みはない。

 中国と同様に風力発電と太陽光発電が急速に拡大して、電力需要の増加に対応している。2016年に風力の発電量が原子力を抜き、2018年には太陽光の発電量も原子力と同程度になった。今後は風力・太陽光の発電量が原子力を大きく引き離すことは確実だ。

 中国の西部からインド、中東、アフリカ全体には豊富な日射量があり、太陽光発電のポテンシャルは大きい。世界には日射量の多い地域が広がっている。米国の南部から中米・南米にかけて、さらに東南アジアからオーストラリアを中心とするオセアニアにも、欧州や日本をはるかに上回る太陽光が降り注いでいる。これから経済の発展が期待できる国々の多くでは、先進国よりも低いコストで大量の太陽光発電設備を導入できる。いまやコストが高くて安全性の懸念がある原子力発電が入り込む余地は小さい。

 世界の中で原子力発電の将来性を最も見通しにくい国はロシアだ。ロシアには日本に次ぐ37基の原子炉があり、新たに6基を建設中だ。政府が原子炉の新設計画を後押ししているほか、輸出にも力を入れている。ただし国内では古い原子炉が多く、近い将来の運転終了を想定すると、原子力発電の規模が大きく伸びることは見込めない。

 ロシアは天然ガスが豊富なため、ガス火力発電の割合が約50%と高い。原子力発電は20%弱で、自然エネルギーも水力発電を中心に原子力と同じくらいの規模の電力を供給している。他の国ほど風力と太陽光の資源に恵まれていない点を考えると、原子力発電が長く生き残る可能性がある。輸出先の拡大を含めて、原子力発電と核兵器製造の関連性が気になるところだ。同様の懸念は原子力大国の米国やフランス、中国にもある。

 

 

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