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2019年10月 9日 (水)

Science ~材料科学の立場から考える~ ⑧

続き:   <その 3>

 この変形量の違いを補償するのは、介在するセメントの強さと接着力にある。セメントの機械的強さと接着力が十分に大きければ、変形量に差が生じても接着部の破壊、つまり冠脱離を防ぐことが可能である。接着操作の適否が重要であるとともに、支台歯材料の適切な選択が必要であろう。

 CAD/CAMレジン冠の脱離や不具合が装着後の比較的早い時期に発生したことが報告されている。機械などの故障・不具合発生に関する一般的特性としてバスタブ曲線が知られている。機械などは初期に不具合や故障が発生することがあり、時間経過とともに故障発生はなくなる。さらに時間が経つと寿命劣化により故障発生が増加する。この初期故障は、先天的な欠陥、製造上の不備、製品管理の悪さなどが原因といわれる。

 レジン冠脱離が初期に発生することが多いことは、レジン冠の材料自体に問題はないと考えられることから、術者の症例選択技術的な原因が大きく影響していると類推できる。したがって、症例に応じたレジン冠の適用判断とコアや接着材などの材料選択、接着術式を誤らなければ、装着初期の不具合を防ぐことができると考えられる。

 臼歯部へのCAD/CAMレジン冠の適用についてはさらに長期間の経過観察が必要。特にレジン系材料の欠点である耐摩耗性や吸水に伴う変色・物性劣化などの評価が求められる。 次は <まとめ> へ

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