Clinical 口腔症状を契機にHIV感染が判明した症例 ②
続き:
1. HIV/AIDSの歴史(薬害エイズの歴史)
※ 世界の動き
1921頃 サルからヒトにウイルス感染したと想定、遺伝子解析から
1936 レトロウイルスのマウス乳癌ウイルスが発見される
1953 血液凝固第Ⅷ因子欠乏症を血友病A、第Ⅸ因子欠乏症を血友病Bと呼ぶことになる
1970 H.テミンと D.ボルチモアがレトロウイルスから逆転写酵素を発見する
1977 ザイールに赴任していたデンマーク人外科医がカリニ肺炎で死亡する
1980 米国立防疫疾病センター(CDC)が「罹病死亡率串還報(MMWR)」で男性同性愛者5人のカリニ肺炎を報告
1982 米国CDC、「MMWR」誌で血液製剤によるエイズ感染の危険性を指摘
1982 米国CDC がカリニ肺炎、カポジ肉腫を二大特徴とするこの病気を「後天性免疫不全症候群 (AIDS)」と命名する
1983 仏パスツール研究所のモンタニエ博士、AIDS原因ウイルスの分離に成功
1985 米国 NCI で満屋博士が AZT を発見、初の HIV 治療薬
※ 日本の動き
1889 弘田 長(東京大学医学部小児科学教室)が日本で初めて血友病患者を報告、Hemophilia を血友病と和訳する
1919 日本で初めての輸血が九州大学と東京大学で行われる濱口首相が襲撃されるが、輸血と手術で救命される
1964 ライシャワー駐日米国大使が暴漢に刺傷され、手術に使われた保存血液から血清肝炎にかかる。売血が政治問題化
1969 民間血液銀行(売血)による保存血液の販売が中止される
1977 厚生省血友病研究班で家庭療法(自己注射)を取り上げる
1982 毎日新聞、「『免疫性』壊す奇病、米で広がる」と日本で最初のエイズ報道
1985 国内血友病患者にエイズ患者を認定
1985 加熱第Ⅷ因子、第Ⅸ因子製剤の市販開始
1989 大阪 HIV 訴訟提訴(原告2名)、被告は国と製薬会社
1996 大阪 HIV 訴訟、東京 HIV 訴訟で和解成立
HIVは遺伝子解析から、1920年代にはアフリカ熱帯雨林に住む動物からヒトに感染していたと報告されている。世界に拡大するまでに60年近くを要しているが、今も新しい病原が動物からヒトに感染して拡がりつつあるとして準備が必要とする考えもある。とりわけ薬害エイズの歴史は、日本国内の血液製剤の歴史を色濃く反映している。現在、日本赤十字社で献血された血液は日本血液製剤機構で加工されるが、核酸増幅検査 (NAT) によって安全性の確保に努めている。
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